第三話 暮らしを支えてくれる人々に感謝を込めて!
一章 子ネコは今日も愚痴をこぼす
「ほんと、腹立つよねえ~。たかだか一企業の社長の分際でいばり散らしてさ。なにさまのつもりなんだっての」
――社長さまのつもりなんだと思うけど。
場所は
「わたしはただ『目覚めの刻』の市長として、決められた通達をしただけなのよ。
『プロジェクト・
そしたら、社長とかいうどこかのオッサンが市長室まで乗り込んできてさあ。唾を飛ばして言うわけよ。汚いったらないわ。秘書に部屋中、消毒するように厳命して帰ってきたけど、あのオヤジごと消毒剤につけてやればよかった」
「なんて言ってきたの?」
「『要求基準が厳しすぎる! そんなことでは我が社の利益が出ない!』だってさ。ふざけてるわよね。いまどき、あの程度の基準、どこだってやってるのに。それでまあ、わたしは毅然とした態度で言ってやったわけ。
『この基準は『目覚めの刻』設立以来の理念です。『目覚めの刻』で活動するなら企業だろうと、公的機関だろうと、反することはできません』
あんなどこの馬の骨ともわからないオヤジ相手でも市長として、きちんと敬語を使って応対するのがわたしの偉いところよねえ。うん、わたし偉い! 最高! 世界一!
でっ、わたしはきちんと言うべきことを言ったわけなんだけど、あのオヤジときたら怒りはじめてさあ。デカい面していうわけよ。
『そんな基準を守らなくてはならないなら『目覚めの刻』での活動などやってられん! 我が社は撤退する!』
唾を飛ばしながらそう言って『ニヤリ』なんて笑ってみせるんだからもう気色悪いったらなかったわ。あれ、絶対、時代劇かなんか見過ぎて悪役に染まっちゃったタイプよ。うん」
「それで、どうなったの?」と、
「で、まあ、そのオヤジ、ニヤッと笑って言ったわけよ。
『我が社が撤退すればプロジェクト・
だってさ。
まるっきり、脅迫じゃない。ほんと、顔のいやらしいオヤジは根性までいやらしくねじ曲がってるのよね。だいたい、ソーラーファームの主要な資金源はわたしたち
「それで、
「もちろん! キッパリ、ハッキリ、言ってやったわよ!
『ご自由に』ってね。
『わたしたちが寄付したいと望む企業を見つけるのに苦労するとでも思っているのですか? 企業はかつて、テレビ番組にCMを出すことで自社の宣伝を行い、視聴者に無料のテレビ番組を提供していました。現代では、ソーラーファームに寄付することで、人々に対して無料のエネルギーを提供しています。それはつまり、どういうことか?
そう。そのエネルギーを使って生活する人々は、寄付をつづけてもらうためにその企業を買い支えなければならない、その企業の品を買いつづけなくてはならないということ。企業はソーラーファームに寄付することで事実上、消費者に対して自社製品の購入を強制できる。テレビCMなんかよりよっぽど確実に利益を得られる。だからこそ、どんな企業もソーラーファームに寄付したがる。『うちがソーラーファームに寄付できるようになれば、これだけのいいことがあります』と、売り込みに来るのです。
わかりますか?
選択権を握っているのはあなた方、企業ではなく、わたしたちソーラーファームを運営する側なのです。だからこそ、わたしたちは企業にその立場にふさわしい責任を全うさせるため、ソーラーファームに寄付するために自然及び社会及び社内環境に対する一定の基準を設けています。それらの基準を満たす企業だけを選ぶことで、地球と人類の環境を改善する役割を負っているのです。
それこそが、わたしたちソーラーファームを運営する側の誇りであり、責任。代々、伝えられたその誇りと責任をないがしろにすることはできません。わたしたちはなんとしてもその基準を守り抜きます。企業の都合に合わせて基準を緩和することはあり得ません。企業にできることは、その基準を満たすかそれとも、ソーラーファームから撤退するか。そのいずれかです。
『基準など満たしたくない。撤退する』と言うならどうぞご自由に。わたしたちはかわりの企業を選ぶだけ。困ることなどなにもありません。いま現在でもこれだけの数の企業が新たに寄付したいと申し出てきているのですから』
てっ、わたしはそう言って、寄付を申し入れている企業のリストを見せつけてやったわ。そのときのあのオヤジの顔ったらないわね。まさに『ざまぁ!』ってやつよ。
でっ、結局、あのオヤジのやつ、顔を白黒させてあげくに『……善処します』なんて言って引きさがったけどさ。出て行くときの顔がまあ、浅ましいって言うか、醜いって言うか。ほんと、いやらしい顔してたのよ。お清めの塩をまとめてつかんで投げつけてやったわ。いやあ、やっぱり、こういうアイテムは用意しておくものよねえ」
「すごいじゃない。ちゃんと、相手に認めさせるなんて。さすが、
「ありがとお~。そう言ってくれるの、
とっくの昔に裸の付き合いになっている身だけどやっぱり、こんなことをされると恥ずかしくなる。
そんなことには一切かまわず、
「わたしはいつもがんばってるんだよ? 市長として、市民の暮らしを守るために精一杯やってるの。なのにみんな、わたしに文句ばっかり言ってさあ。『基準が厳しい!』とか『手続きが煩雑!』とか『物価が高い!』とか、もう言いたい放題。そんな面倒なこと、わたしが一番、やりたくないっての! やらなくてもいいならやるわけないし、物価だって安くできるならしてるに決まってるじゃない! そうはいかないからやってるんでしょお。それなのに、みんなして文句、言ってきてさあ。もう、泣きたい。市長なんて辞めてやる!」
「落ちついて、
それが
水着姿をネットにあげるだけでいくらでも稼げるグラドルとしても活躍している
だったら、慰めてあげないといけない。
励ましてあげないといけない。
それこそが嫁の務め。
「あたしはちゃんと知ってる!
「ありがとお~。
ピッタリ密着されたおかげで
「
――どう考えても『嫁』はあたしの方だと思うんだけど。
実際、『プロ嫁』として働いているわけだし。
――まあ、どっちが嫁でもいいか。
こうして、お互いに愛おしく思える関係ならどちらが嫁でも同じこと。
両目を閉じてウットリと唇を任せながら、そう思う
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