第2話:カンちゃんが夢を見なくなるまでね。
「心願成就ね・・・そんな四字熟語知ってるんだ」
夢は寛太の夢の中のキャラだから、寛太の思考を受け継いでる訳だから寛太が
知ってることなら夢も知っている・・・寛太はなにも教えなくていい。
そういうこと・・・楽勝じゃん。
「って言うか・・・まじでこんなことあるんだね、望みはしたけど・・・」
「でも、やっぱり俺まだ夢を見てるんじゃないのか?」
「夢じゃないってば・・・」
「これって本当に現実・・・僕の方が夢の中に入ってんじゃないの?」
「それとも誰かが悪さしてる・・・僕を困らせようとしてるとか?」
「被害妄想だよ・・・困らせたりしてないから・・・」
「もし夢なら、覚めてくれ・・・」
「まだ言ってる・・・これは夢なんかじゃなくて現実なの、早く受け入れたほう
がいいよ」
「拒否するなんて贅沢だよ・・・自分の理想の女がせっかく夢から出て来たのに」
「あのさ・・・夢・・・ひとつ聞いていい?」
「なに?」
「夢の中でさ、夢とこれからって時に、肝心な時に僕いつでも目が覚めるんだ」
「よくあるじゃん・・・危ないとか死ぬかも〜って時に限って夢から覚めるって
こと・・・」
「私は人間じゃないし夢は見ないからよく分かんない・・・何が言いたいの?」
「あの・・・夢と僕、夢の中で一線超えた?・・・最後までしたことあるのかなって思って・・・」
「覚えてないんだね・・・でも今更いいじゃない・・・それは夢の中のことだから」
「それより、これからは朝、私がカンちゃんを起こして朝食作って食べさせて大学へ送り出してカンちゃんが帰ってくるまでにお掃除に洗濯を・・・
あ、お出かけする前にハグとチューは忘れちゃいけないね。
で、お掃除と洗濯を済ませてご近所のスーパーでお買い物してカンちゃんが帰って来たら、夕食の支度をして一緒に晩ご飯食べて、一緒にお風呂に入って、ふたりでベッドでラブシーンを演じるの」
「そうなんだ・・・君って出来る子なんだ」
「で、ご飯食べさせて・・・まではいいんだけど、何?一緒に風呂に入るって?」
「夢は俺と一緒に風呂に入るの抵抗ないの?」
「別に・・・夢の世界でしてたことを、するだけだよ」
「ああ・・・そうなんだ・・・一緒に風呂に入ってたんだ」
「僕は夢を見ても、ところどろこ断片的にしか覚えてなかったりするんだよな」
「夢の中では私とカンちゃんはとっくに結ばれてるんだから現実でも夢の中の延長だと思えばいいじゃない?・・・」
「延長ね」
「まっいいや、こっちにいてくれるんなら何にも言うことないから」
夢は延長って言った・・・それに僕はもう夢の中で夢と結ばれてるみたいだし
現実の世界でだって結ばれたって、なんの問題ないわけだろ?
「あ、あのさ・・・早速だけど、今夜・・・あの・・・いいかな?」
「いいよ」
「もし嫌なら無理にとは言わないけど・・・夢がここにいるんだって思うと我慢
できなくて・・・」
「私が夢の延長だって言ったからね・・・していいよ」
「夢は僕の彼女だけど明日の朝になったら、いなくなってったりしないよね?」
「さ〜・・・どうだか・・・それはカンちゃんの愛情の深さ次第だね」
「カンちゃんに私に対する愛情がなくなったら私、消えちゃうから・・・」
「愛情がなくなったりしないよ・・・ダメだよ・・・消えちゃったりしたら」
「夢を大切にするから、彼女も作らないし、嫁ももらわない・・・誓うよ」
「夢だけだから・・・一生僕と死ぬまで暮らそう」
「そうだね、カンちゃんが夢を見なくなるまでね」
ちなみに寛太は思いついたまま彼女に「夢」って名前をつけたけど、もし夢が家族に
なったら、「夢野又 夢」「ゆめのまたゆめ」って名前になっちゃうんだよね。
それって「夢の中で見る夢のように、はかないこと」って意味なんだって。
そうならなきゃいいけどね・・・お幸せに。
おしまい。
【KAC20254】夢ちゃんは現実の世界で僕と恋する夢を見る。 猫の尻尾 @amanotenshi
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