2,田中係長と佐藤課長

「え、ええと。はい!妖精課を探しておりまして、あ、自分、今年からお世話になります、姫野と申します」


 突然美少女に遭遇した動揺から、姫野の返事はやたら早口であったが、美少女は気にせず笑顔で頷いた。


「あ〜。やっぱりそうだった。私、精霊課の係長の一人、田中 みのり。貴方の直属の上司になるから宜しくね。案内するわ。ついて来て」


 そう言って、先導を始める美少女。

 姫野は一瞬呆然としたが、慌てて彼女の後を追う。


(えー?どう考えても年下にしか見えないけど、年齢は新卒が一番下だし、年上なのか?)


「ここよ」


 姫野がゆっくり考える間もなく、田中は部屋を指差した。

 棟の入り口を入ってすぐ右手にある大部屋。

 そこは、最も多忙な部署が所属すると思しき部屋だったため、姫野は先程視界にも入れなかったのだが、扉の上にはしっかりと『妖精課』のプレートがある。

 室内に入ると、田中は部屋の奥、課長席に座る女性に声をかけた。


「佐藤課長、姫野君が来ましたよぉ」


「ああ。ありがとう、田中係長」


「いえいえ。姫野君、こちらへどうぞ?」


「あ、はい。失礼します」


 正面に立って見る前から、姫野は気付いていた。艶やかなロングストレートの黒髪に色気のある漆黒の瞳。スレンダーでしなやかな体型。


(課長さんも、とんでもない美人だ。さすが妖精課と言うべきか? こんなの、毎日が楽しみすぎるだろうっ)


 姫野が内心でガッツポーズをした時、佐藤課長が立ち上がった。



「姫野 優貴です。本日よりお世話になります」


「課長の佐藤ハナだ。ここは大変な部署だが、その分やり甲斐もある。悩み事があったら、溜め込まず、同僚や上司……直属は田中係長だが、私でも構わない。いつでも相談してくれ」


(か……かっこいい系かぁ)


 頭の中で感動しながら、頭を下げた。


「ありがとうございます。一生懸命頑張ります。宜しくお願いします」

 

「では、田中。いつも通り装備と武器の手配を」


「了解です。じゃ、姫野君ついて来て」


「あ、はい!」


(武器?妖精相手に?)


 疑問を抱きつつも、姫野は田中の後を追った。

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