第25話 露出狂のリュウ

 露出狂のリュウの頭上にステータスを出した。

「えーと……」


【名前】 大山リュウ 【種族】 ドラゴン

【年齢】10〔68〕【職業】なし【レベル】85

【称号】・紅龍・露出狂

【HP】900【MP】400

【攻撃力】700【防御力】700【魔力】200

【素早さ】100【魅力】3【運】80

【スキル】・火属性無効・竜の鱗・火の化身・炎の加護

     ・変幻〔人間〕・衣装選びコーディネート


「ヨシ、このスキルがあれば今後人間になっても大丈夫だ」

俺はコイツのステータスに新たなスキルを加えた。【衣装選びコーディネート】、魔力を使い空気中の魔素から服を生み出す術だ。こんなに便利なスキルまでやるとは、おれはコイツに対して少し甘いな。


「おい、なんか、称号の所に変なのが追加されているのだが」

「ん?」

「ん? じゃねえよ、なんだこれ【露出狂】って」

「ああ、あまりに面白かったんでなサービスだ。全裸、つまり装備なしの状態なら常に敵の注意を引き付けることが出来る。守護者ガーディアンが喉から手が出るほど欲しいだろうよ。」

「全裸になった瞬間、防御力ガタ落ちなのだが……」

「あと、【正義の味方ヒーロー】のやつには気を付けろ。たしか、受けるダメージが倍になる。」

「デメリット特性じゃないか!」


 早速、リュウは【衣装選びコーディネート】を使って服を作った。魔力で一時的に作ったモノなので、脱ぐと消えてしまう。つまり無限に服を作れるわけでは無いし、焚火の燃料にも出来ないのだ。


「お、似合っているじゃないか、平凡そうで……」

「悪かったな普通の男で」


リュウはこの村の人が着ている服を作った。

大山リュウは転生してから、ここ最近を除けば人間とまともに交流していない、なので真っ先に思い浮かんだのがこの服だ。

もしかしたら、転生前の世界の服が見れるかもと思ったのだが、10年以上も経ってしまった今、リュウに当時の服を鮮明に思い出せる事は出来なかった。


「学ランっていうのだろそれ?」

「まあ、ちょっとパチモン臭いが……」

「そんだけうろ覚えって事だ。」

「だが出来た! このスキルって見た服装を真似るんじゃなくて、自分の想像で作れるんじゃないのか?! それならファションショーが開催できる!」

「モデルお前しか出来ないのだが」

「違う違う、マキにおれがいた世界の服、うろ覚えだし全く違うモノかも知れないけど伝えられるかもしれない。」

「ハァ……、あんまり使い過ぎるなよ、お前MP少ない方なんだから」


こいつのMPはレベルの割に少なめというだけで、そこらの人間からしたら決して少なくはないむしろ多い方だ、しかしコイツならバカスカ使ってすぐにMP切れ起こしそうだったので先に注意しておいたのだ。


「ああああ」

「びっくりした、急に叫んで今度はなに?」

「マキにどう説明しよう……、いっそ別人ですって言おうかな?」

「知るか勝手にしろ」


 俺はリュウの元を去った。

先程大声を出したため村の者が慌ててくる、更に全裸で牢屋に入れられていたハズの男が服を着ているときた、一体どんな魔法を使ったのだと警戒する。「まさか、村人の誰かから剝ぎ取ったのか?」と言われる始末。「服剥ぎ取った後にまた牢屋に戻るバカがいるか!」とツッコむリュウ。

まるでコントを見ているかのようで笑わせてくれる。

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