夢をみていたいね
ひととせ
第1話 うさぎとりんご
雪のなかに、りんごがひとつありました。あたりは雪でまっしろです。こごえるような雪の日にあかいあかいりんごがあるのです。
そこにうさぎがやってきて、こういいました。
「おや、こんなところにきれいなあかいものがあるぞ」
うさぎは雪のなかから、りんごをとりだして、じっとみつめました。
「きれいなものだなぁ、あかいだけでなくて、みどりのところもあるのだなぁ」
うさぎは、こんなにうつくしいものは、きっとだれかのたからものにちがいないぞ、とおもいました。
「ぼくが、とどけにいかなくっちゃ!」
うさぎはりんごをもって、雪の上をかけだしていきました。
うさぎは、いちばんに、りすをたずねました。
「りすくーん、おーい、りすくーん」
うさぎは、りすのおうちのきのみきをとんとんとたたいてよびかけました。
「りすくーん、おーい、りすくーん」
けれども、りすはでできません。
「りすくん、ねむっているのかなぁ」
うさぎは、くびをかしげて、そういいました。りすは、森のなかでは、いっとうはやおきだとみんなによくほめられていたからです。
うさぎは、りすくんもはやくおきられないことがあるのだなぁとめをまあるくしました。
「りすくんは、まいにち、はやおきすぎるから、きっとつかれているんだ!きょうは、おこさないでおこう!」
うさぎはりんごをもって、また、まっしろな森のなかをかけていきました。
うさぎは、にばんめに、おおねずみをたずねました。
「おおねずみくーん、おーい、おおねずみくーん」
おおねずみは、いえからかおをだして、うさぎのよびかけにこたえました。
「や、うさぎくんじゃあないか、どうしたんだい?まっしろなのはゆきだからかい?」
おおねずみはうさぎがまっしろにしているのをみて、つぶらなおめめをぱちくりさせました。
「ううん、まっしろなのは、ぼくがうさぎだからだよ!おおねずみくんにききたいことがあるんだ!」
「なんだい、なんだい」
うさぎは、りんごをおおねずみくんにみせました。
「おや、りんごだ」
おおねずみは、りんごのにおいをかいだあと、めをみひらいてそういいました。
「りんごっていうんだね!これ、とってもきれいでしょ、だれかのたからものなんじゃないかなぁっておもうんだ!」
「たからもの」
おおねずみは、また、おめめをぱちくりさせました。
「ねぇ、これっておおねずみくんのものだったりする?」
「いいや」
おおねずみは、くびをよこにふって、こたえました。うさぎは、こまったなぁとおもいましたが、うさぎなので、かおにでなかったのです。
とつぜん、かぜがふいてきて、おおねずみとうさぎは雪まみれになってしまいました。
「ぼくたち、このまま外にいたら、こごえちゃうよ!うさぎくんうちにおはいり!」
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