第11話 それはどこでも同じ。

フォールが目を覚ますとイェレナの姿はなく机の上に一枚の手紙が置かれていた



ーー夏背ちゃんへーー


私は1度病室へ戻ります。

そしておそらく王城へ行く事になるでしょう。

今世間ではフォール・グッナイという人物は『平民を殺そうとした悪女』という認識になっているので外出なども控えて下さい。

私は王様へフォール・グッナイは悪くないという事を説得しに行きます。

もしもの時は私が助けますので安心して下さい!そして、もし、夏背ちゃんが死ぬようなことがあったら私も後を追うのでよろしくお願いします。


ーーイェレナよりーー



狂っている



フォールはそう思った。しかし...


「私が...私が調子になんか乗らなければ」


「もし私に魔法の素質がなかったら、こんな事には...」


フォールはダメな方へと思考が流れていく


その時、扉がノックされる


「...どうぞ」


「失礼するわ、フォール・グッナイ」


現れたのは先生だった、どうやら昨日無断で帰った事に対して思うことがあったらしい


「...フォール、余り自分を責めないであげて?」


「えっ?」


先生の口からは意外な言葉がでてくる


「少なくとも私は貴方がイェレナをわざと刺したなんて思ってないから」


「無理に登校しろって事も言わないわ、貴方の精神が回復して、自分の気持ちに折り合いがついたら登校して欲しい」


「...先生!」


どこの世界でも教師はやはり教師なんだなと実感する


「私は、イェレナのこと大切に思ってます...!なのに、私は、私は...」


フォールの目から涙が溢れる



「少し失礼してもいいですかな?」



扉の方から声がする、その方向を見ると懐かしい人物が立っていた


「ミギ...さん?」


約2年前にフォールの属性検査の時に赴いた魔法省のトップ、ミギ・マサカリナが立っていた


「ミギ様!?」


「こっ、こんにちは、ミギ・マサカリナ様、どういったご用件で?」


(ミギさんって思ってる以上に偉い人なのかな)


「そんなに畏まらなくていいよ、今日はフォール・グッナイに用があったんだ」


「ミギさん、お久しぶりです」


「あれから約2年がたったのか、歳をとると時間の流れが早くてね」


「あの、ご用件とは?」


「あぁ、実は今君には令状が届いている、これだ」


ミギが取り出したのは王都立裁判所、日本で言うところの最高裁判所だ


「私は捕まるんですか?」


「残念だが、そうなるね」


「だけど今回の件はフォールは全く悪くないと私は考えているが、どうかな」


「私は!...私は」


フォールが声を詰まらせると先生が話し始める


「フォールはそんな事をする生徒ではありません!私の名誉にかけて宣言します」


「ふむ、やはりか」


「それがわかっただけで大きな収穫だ、早速裁判所で抗議してみるよ」


「えっ?」


「あぁそれと、裁判の日は今日から3日後だ」


「...あのっ!ミギさん!ありがとうございます!!」


「...君を見ていると孫を思い出してほっておけないんだ、それに君には魔法界を引っ張ってもらう役目があるからね」


「それじゃあ良い結末を迎える事をここに誓う」


「それでは、さようなら」


そう言いミギは部屋を後にする


「...それじゃあ私もそろそろいくわね?余り思い詰めないでね?さよなら」


先生もそういって部屋を出ていく


誰もいない1人にしては少し広めの部屋


しかし、朝とは違い暗い空気は漂っておらずどこか清々しい空気がそこにはあった

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