よくある町の、ふしぎ話

青木桃子

第1話 ボンボン時計と座敷わらし

 マンガ原作コンテストのため、桃子あるいは、近しい方のふしぎ話を集めてみました。


 怖い話というほど怖くない、ふしぎ系実体験エッセイです。だから本当は気のせいなのかもしれません。人から聞いたふしぎ話は、設定や名前を少し変えて書きました。


 今回お届けするお話は、わたし桃子が小3~4年くらい、母方の祖父母の家に泊まった時のふしぎな出来事です。



 ***



 わたしの母方の祖父母の家は山奥、小さな集落は道路沿いに家が建ち並び、その中でも祖父母の家はひと際大きくて、時代劇のお殿様の庭のようなりっぱな松が植えてある広い庭。玄関から入って、右も左も客間、さらに奥は座敷には大きな仏間と床の間。その奥もなにかの部屋でした。


 とにかく田舎の家は広い。廊下が長い。走れる! 祖父母には田んぼも畑も山もあった。母はこの辺ではお嬢様だったんじゃないのかしらと思うほどでした。(わたしの家は違いますよ)


 三歳頃の記憶が確かなら、薪でお風呂焚いていた。「ポツ〇と一軒家」を観ると懐かしく感じます。


 母は六人兄姉妹きょうだいです。夏休み中、毎年お盆近くになると親戚が集まり、いとこもたくさん来ていて、昼は近くの川で魚やサワガニを獲る男子たち。日が暮れるまで泳ぎました。


 いとこは十人以上いたので、だだっ広い一階の畳の部屋で子どもだけで雑魚寝しました。隣は大きな仏壇のある座敷、なぜか子どもの頃はその仏間が怖かった。


 桃子は昼間、川ではしゃいだのに、全然寝られない。無理矢理目を瞑ったが、自分の布団じゃないと落ち着かない神経質な性格なのだ。しかし、目を開けたら天井の木目が人の顔に見えて怖いし、困ったな……。


 せっかく睡魔が襲いウトウトしていると、祖父母の家の古びた柱時計が鳴る。ゼンマイ式の振り子時計だ。通称ボンボン時計。


 一時間に一度、時間の回数分鳴る。それとは別に、三十分に一度、一回鳴る。だからまあ、三十分に一回はボンボン時計が鳴るので余計、寝られない。

 しかも、その一回の「ボ―――――ン」がやたら長くゆっくり響く。


 わたしはため息をつき、寝返りを打った拍子に目を開けてしまった。すると頬づえをついた女の子と目が合った。窓から漏れる月明かり、薄暗くてよく見えなかったが、目を凝らすと、一歳下の従妹の――のんちゃんだった。


(のんちゃんも眠れないのか……)


 二人はお互い顔を見合わせてニッコリ笑った。私が手をふると、のんちゃんも手を振る。私が転がると、のんちゃんも転がる。のんちゃんは私のマネをするのだ。しばらく遊んでいたが、ふと――。


(のんちゃんて、大人しかったような。こんなことをする性格? お姉ちゃんは泊ってないし、他に女の子いたかな)


 桃子は周りを見渡したら、のんちゃんは別の場所で寝ていた。


(え? 今遊んだ子って誰……?)


 再び視線を戻すと目の前で寝転がっていた子はいなかった。


「⁉」


 わたしは急に怖くなって、ガバっとタオルケットを頭からかぶった。

 すると――。


 ボンボン時計が鳴り響き。

 ペタペタと誰かが廊下を走る足音。

 ケタケタと女の子の笑い声が聞こえた……。


 ドクンドクンと心臓が早く脈打つ。怖くて怖くて、目を瞑った。





 ピピピピ……チチチ……小鳥のさえずり、シャワシャワとセミの声、裏庭の木々のすきまから、朝日が差し込む。


 目を覚ますと、いとこたちはいなかった。朝起きて川に遊びにいってしまい、わたしは一人取り残される。 



 (いったい、あれ、何だったんだろう……)


 今でもあれの正体がよくわからない。夏の思い出。




     「ボンボン時計と座敷わらし」  完




 ***



 お読みくださりありがとうございます。「座敷わらし」ってタイトルに入れちゃったけど、これはただの願望です。

 「ボンボン時計と幽霊」なんてタイトルは嫌だ(><)それに霊感ないから、絶対幽霊なんて見てないです!


 こんな感じの、とくにこれ以上の発展もない、ふしぎエピソードです。

 よかったら、またのぞいてください(´▽`*)

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