第四話
僕は王様に勅令で、魔王城の前にあった、要塞が突破され、その後の中間防衛ラインまで侵攻して来ていると報告があって、あの日のグリナさんの静止を振り切ってやって来ていた。今回も槍を常備していつでも使える状況にしてある。そして、中間防衛ラインを守るために結界を槍で張った。そして、魔物や、魔神の部下である
「隊長!右翼側が壊滅に近い状況です!第四部隊も生死不明です!援軍を!」
「分かった。すぐ行く。僕が時間を稼ぐから、王都に行って、『剣鬼』と、『剣姫』に連絡して、あの人たちならきっと力を貸してくれるから。あ、それとユイドには内緒で」
「しかし!剣聖様がいれ「ちょっと黙れ」」
僕は久しぶりにイライラしているのはユイドが明らかに使いっぱなしにされ過ぎているところだ。おそらくだけど、ユイドと、グリナさんを過労か、戦死を望んでいるだろうけど、絶対させない。僕は勇者エルデルさんを尊敬している。だから、こんな僕を親友と言ってくれるユイドと、こんな家から追い出されたような人を好きになってくれたグリナさんのためにもここは勝たないと。
それからはまた激闘の日々だった。援軍は呼ぶが、ユイドとグリナさんが来ないように情報統制を行っていた。そのおかげでなんとか国王様や、王子様にも箝口令を敷いてもらってしばrsくはユイドとグリナさんが戦場に出なくてもよくなった。
そして、僕は、親友や親友の友のために戦った。弱る聖女ニーナさんや、今は亡き勇者エルデルさん。そして、ゼゴラさんたちが守ってくれた世界を壊されてたまるか。僕は親友に生憎託されてるんでね。ここからは絶対に通さない。
それからは、ほとんど記憶に残っていない。戦場で一人走り回って、魔神の幹部を倒しながら、他の国の騎士たちも倒して、なるべく槍を使わずに進む。魔神を封印するために、必ずこの槍がいる。だから、それまでは、使うことが出来ない。
「おい!見ろ!『血塗れの亡霊』だ!!」
「奴を殺させばぁ?」
「五月蝿いなー。は、は、」
戦場で止まらずに走って血塗れになっていると『血塗れの亡霊』って言われて、なんだそれ?みたいな顔を途中までやってたけど、途中で雨が降って来て、水たまりで自分の顔を見たら確かに亡霊みたいな表情を全く変えずにただ走って倒して繰り返しているただの亡霊だった。
別に、言われるのが早くなっただけで、別にどうでもよかった。守る物がある。だから、止まれない。少なくとも勇者パーティーが立ち直れるまで時間を稼がないと。それに今後ろでは、重症を負った騎士団の仲間が最終防衛ラインを守ってくれている。援軍は出せない。他の国にも出払っているから、それが終わらない限りは。
目が重い、瞼が閉じそうになる、血が出ても近くにあるポーションをありったけかけて治してすぐに戦場に戻る。時々記憶がない状態で戦っていることも多くて、でも、周りに誰もいないからかなり楽だった。今日この日僕は自由になったんだと思うと更に力が湧いて来た。
***
ここは、ドラスが前線で戦っている戦場近くの要塞で、多くの重軽傷者がおり、回復魔術によって治療を多くの兵士が受けていた。その中には、ドラスの部下もおり、上官なども前線で怪我をして、かなりの数の騎士が「もう負けるのではないか」、「剣聖や賢者は来ないのか』など不満や鬱憤が溜まっていた。だが、単身ドラスが食料も水も碌に持たずに戦場を駆け巡っていたことを知る騎士たちはそれ以上何も言うことが出来なかった。
「サルボ上官。ドラスの奴大丈夫ですかね。もう一ヶ月は帰って来てませんけど」
「...分からん。だが、現状こちらに攻め入られているという情報は斥候の調査でも来ておらん」
あいつがあの日。我々が侵略を許したばかりに、騎士たちに多くの負担がかかっている。特に騎士団団長七人の内の2名が既に死亡。そして副団長が現在は指揮を取っているが、作戦本部でずっと頭を悩ませていた。参謀も頭を日中ずっと悩ましているが、現状維持出来ているだけでも奇跡だと言っていた。
これもあの、『青鉄の騎士』の末裔でありながら、その当人と同じ資質を持つ者がまた国を救おうとしてくれているのにも関わらず、数は出せても軽傷者を入れても僅か千程度。魔神の幹部が現れれば十にも満たない。それに、結界が敷かれているせいで、先に進めないところがある。おそらくドラスが戦っているのが分かる。
「斥候からの情報です!『青鉄の騎士』存命です!魔神幹部20の内単独で10討伐を確認!現在も魔物や、他国との戦闘、魔神幹部と戦いながら着々と他国の大将のところに向かっています!!」
「な?!ドラス一人か?!」
「...はい。救援を出しますか?」
「...来たい者はいるか?我こそは勇気ある者!」
シーンと要塞内部が静かになる。やはりか、と思っていると重症者にも関わらず手を挙げる者がいた。そいつは右腕を切られ残っていないのにも関わらず行こうと言うのだ。
「あの、人は、一人で戦って、るんだろう?いつも通りだが、この、ままじゃあ、死ぬぞ。あの人」
一人の騎士はおそらくドラスに死にそうなところを助けられた一人なのだろう。そして、彼のお陰で無事にここまで帰ってこられた騎士も多いはずだ。なぜなら死者の数は相手よりも少ないからだ。ドラスが槍を使い結界を張り、どんな強力な魔術も防ぎ、魔術士部隊を颯爽と壊滅させ、魔神の幹部も封印または、討伐することで、なんとか前線を保っていた。
すると、その声を聞いた騎士たちが絶望していたのにも関わらず立ちあがろうとしていた。そして、それは俺も同じだった。誰かを守ろうとして死ぬのなら騎士としてこれ以上嬉しいことはない。
「貴様らそれでも我らが誇るヴァハニト王国騎士団員か!恥を知れ!戦える者は出るぞ!戦えぬ者は治癒に専念し、戦意を失った者はされ!!」
そうサルボ上官が言うと何百人という騎士が立ち上がると壊れかけの鎧を纏い、戦場に出る。結界を抜けるとそこは地獄だった。魔物の血や人間の血がまるで大地にこべりついており、その先にドラスがいることは確認出来た。
今回の目標はドラスの回収と、敵の殲滅に当たること。魔神幹部を見つけ次第撤退。魔物に襲われた場合は殿を務める。
「待っていろ、ドラス!!」
+++
............................あ、もしかして、また意識飛んでのか。僕は、手が震えてきて、前も見えない。それに、左腕もさっきの魔神の幹部第三席を倒したはいいけど相打ちで持って行かれた。義理堅い魔神の幹部で、決闘を申し込んで来たから受けて、終わったらこれか、身体中を見ると穴だらけで、剣や槍、矢、魔物の牙や、魔神の幹部の紫色の血がビッシリと付いていた。動こうとすると、視界が揺れ、身体から空気が通る。血を含んだ風が通り抜けて行く。
正面にいる、魔神の幹部は、後、20いる内の半分と、3、4、5、とそれ以上は倒したから。後は1、2だけか。それならなんとか出来るかも知れない。肺に血が溜まっているのを感じると血が出てくるのを吐き出し、再び壊れた剣を握る。敵国の大将も迫って行ったら逃げ出して最後には魔物に喰われていて、それで敵国との戦争は終わったけど、いまだに
「貴様!『青鉄の騎士』の末裔!!よくも魔神様の部下たちを!!」
「.....守ら.............な.................い........と」
槍を装填して、女神様に対して詠唱で槍を動かすと残りの1、2と戦うことになった。両方相手は無理だから、一体は槍で封印して、もう一体は槍で囲った。
「貴様本当に人間か?風穴がそんなに空いているのにも関わらずどうして動ける?」
「親友と僕のことを好いてくれた誰よりも強い人たちがきっと繋いでくれるって信じてるからさ。それに、後は託せるからね」
内臓の幾つかの機能が完全に止まった。動けているのは女神様の槍で身体中に結界を張り、血が出ないようにしているから。それに、魔力を割いているので、1を分けたけど、そんなに時間はない。奥に見えるあの禍々しい魔神の祭壇。そこには、いくつかの仲間の遺体があるが、下がらせたお陰でなんとか阻止出来そうだった。
「...この死に損ないめ!!」
「....は、はは」
空を少しだけ見上げて、きっとこの戦いが終わったら僕は生きていないんだろうなと思って、空を見上げると黒いただ暗雲に包まれた空の先にある青い空を見ていた。この戦い終われば必ず、ユイドや、グリナさん、ニーナさんが必ず勝利するはず。だから、ここは思いきって全て出し切る。二人は必ず倒して、一番困難を極めるところだけど、後は任せられる。もちろん倒せるなら僕が倒すけど。
「貴様には本気で相手をしてやろう。深淵魔法・グラノルト」
第二位が僕の足元に黒い手がたくさん伸びてくるとすぐに槍を突き刺し、その魔法を無力化する。そしてその勢いを使って飛び込むと壊れた剣で切り裂く。しかし、幻だったみたいで次の瞬間にはバッサリと鎧ごと切られると、瞬間的に筋肉で刃を止めて笑顔で全力の一撃を喰らわせる。
「な?!貴様?!筋肉で止めたというのか?!」
「...」
言葉をかける余裕がなくて、そのまま刃に魔力が通るのを感じると槍で封印を厚く保ち無効化させ、槍で貫く、しかし、全く効果がなく、次の瞬間には刃を抜かれて宙の打ち上げられる。するとどこからか取り出した槍で貫いて来る。結界が破壊されると僕の動きが完全に止まる。
「...は、は、ようやく死んだか。見てください!魔神様こいつの息の根を止めてやりましたよ!」
「....」
地面に投げ捨てられたドラスはそのままビクリとも動かずにただそこで横たわっていた。意識が消える直前に何かしらの違和感があり、それをバレないようにゆっくり見るとどうやら致命傷になっているところがあるようだった。ドラスはもうほとんど血も足りていないのに、まるで
「...イヶ!」
そう言うとドラスは笑顔で全槍を1位と2位がちょうど集まる場所に投げ込む。喉すら潰れて不恰好になってしまったが、要塞を守っているところ以外の槍を全て集め、それを一度に最高火力で槍を突き刺す。意表を突いた一撃だった。
「カハッ!あの忌々しき女神め!魔神様を復活させない気か?!」
「...黙れ、ケドラスネ。奴を見ろ」
「...は?」
二人の魔神幹部が見た者は異常な光景だった。全身から血を吹き出し、風穴が空いて向こう側の景色が見えているのにも関わらずこの男は立っていた。だが、既にその手に槍はなく、地面に転がっている灰色になった女神から授けられた魔槍がただ地面にあるだけだった。効力も何もないただの石で出来たような槍だった。
「認めてやろう。お前がもっと強ければこの俺と、第二位を倒せたかもしれんな」
「...」
「まあ、死んでるから無理ですよ。アヴェイン様」
「敵同士だが、お前よりも情に熱い生物は見たことがない。お前だけは敬意を持ってそのままにしておいてやる」
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魔神幹部の二人が儀式を始めようと詠唱を始めると段々と周囲の灰色になっていた魔槍が青く輝きを出し始める。そして、少しだけドラスの身体が動く。動いた訳ではないが、口が少しだけ動く。
「封滅陣展開」
すると19本の魔槍が光だし、それぞれ線で繋がると魔法陣を形成される。そして、その中心にいるのはアヴェインとケドラスネの二人と魔神に捧げる祭壇。そして結界がその周囲を囲み出すと慌てて詠唱を止める。
「なんだ?!あいつは死んだんじゃないのか?!」
「奴め、死んでも尚、我らを倒そうと言うのか、この凡人めが!!」
「...」
何も答えないドラスだったが、最後の魔神の幹部の瞳に映った物はドラスの血塗れになりながらも笑顔でこちらを見ていたことだった。大量に出血していて地面に血の血溜まりが出来ていて、その上で立ったまま死んでいる男の姿があった。
「転移魔法!「バチッ!」な?!」」
「それなら深淵魔法・深淵門!!」
「何?!これも使えないだと?!段々と狭まって来るのはッチ!あのクソ女神がー!!」
それが最後の言葉で、魔神幹部の全員が「青鉄の騎士ドラス」によって討伐された瞬間であった。その場に残されたのは効力を失った19本の槍とドラスの生涯を懸けた一撃だったが、祭壇は壊れず、ドクドクとまだ胎動が蠢くように、ただ復活の時を待っていた。
「はー。これだからあの人たちはダメなんですよ。私みたいなスマートな戦い方じゃないとね!!」
そう言って現れたのは、ドラスが一番最初に討伐したはずの第二十位のケネクトだった。祭壇に手を突っ込むと黒色の炎で魔神の一部を焼き、その力を己の物としようとしていた。周囲の魔神幹部の死体、人族の死体を生贄にすることで、完全な魔人としてこの世に君臨しようとしていた。しかし、周囲に止められる者はいなかった。
「ハハハ。バカメだから足元を掬われるのだ「青鉄の騎士ドラス」よ貴様のおかげでこの私が魔神となれたそれだけは感謝しよう。よって我は優しいからな、お前だけは見逃してやろう。ただし、お前の死体の前で大事な人間を一人残らず食いちぎって無惨に殺してやるがな!!ハハハ!!」
ドラスは何も言い返すことも出来ず、ただ一人で立って死んでいた。壊れた剣を残った腕で持ち、正面を向いたまま笑顔で。だが、その時だった。とある一本の槍が動くとそのままケネクトの胸に突き刺さる。
『悪いが、あんたを今のまま動かすには行けなくてね。女神様のお陰で一瞬だけもう一度だけ会えたな。ドラスお前はよくやった。上出来過ぎだ』
「貴様は!『青鉄の騎士』!!貴様は死んだはずだろう!!」
『ハッ!安心しろ俺はテメエをここに縛り付けて置くためのただの亡霊だ。これで消える』
突如現れたのはよくドラスに似た青い鎧と青い槍を背負った男だった。そして現れた瞬間に魔神となったケネクトに対して一撃を入れるとケネクトは完全に動きを止められていた。そして笑顔でまた『青鉄の騎士』も去ると残されたのは、ケネクトだけだった。
「...まぁいい。ここはお前たちの死を喜ぶとして、しばらく手を出さないでおいてやろう」
そう言うとケネクトは場所をどこかに移すために転移するとそこにはドラスと残った19本の槍だけだった。
その後、騎士団が応援に駆け付けるが、魔神の出すオーラが残留しており、残った敵の処理で手一杯で、ドラスは一人残されていた。そして、これは危機だと感じた副団長たちは剣聖、賢者、聖女の力を要請した。それはドラスの死後の約一ヶ月後の話だった。
「は?ドラスが一人で魔神の幹部と戦ってる?!」
「どういうことだ!なぜ一人で行かせた!」
「...犠牲者を出さないために私たちを守るために結界まで張って守ってくれていました。それにあの戦場に行けるほど軽症の者もおらず、近隣の国からの侵略、更に魔神幹部の対象に追われておりました」
ユイドはやり場のない怒りに城壁を本気で叩く。すると既にも関わらず城壁が少し凹むと周りの騎士たちも冷や汗を掻きながらことの重大性を理解していた。近隣の国が、魔神の幹部がいながらもこの国に侵略、戦争を吹っかけて来たこと、魔神と手を組んでいる可能性すら湧き、ユイドは頭を悩ませる。
とにかく、すぐに行きてぇが、俺にも立場がある。それに、近隣の国が戦争を吹っかけて来ることは最近じゃ珍しくなく、だが、魔神と手を組んだ国など初めてだった。結果、精鋭だけ残り、ドラスはいても死ぬと判断した味方は要塞に閉じ込めるか逃すかして守っていたらしい。そして早馬を使って、海を越え、途中で他所の国からの襲撃を受けながら手紙を届けるのに、約一ヶ月も経ってしまっていた。そしてドラスが単身乗り込んで計算で言うなら、二ヶ月一人で戦っていることになる。
状況は最悪で、近隣の国が戦争を仕掛けて来ている状態で、最強戦力の一角である剣聖、賢者、聖女が抜けるのには些か無理があった。それに、たった一人とは言え、『英雄』の一角であり、そのまま放置というのも難しい話ではあった。
「いいか。ここで聞いたことはグリナには絶対話すな。そんなことしたらたちまちこの国は終わるぞ」
「はい!!」
ドラス、お前生きてるよな?まさか、あの二人見てえにくたばってねえよな?お前まで死ぬなんて俺は許さねえぞ。勝手に死んでたら絶対生き返らせて、俺が殺してやる。だから、絶対生き抜け。
それから、国王との面会、各部署の団長が集まり、ユイドのことを少し事前にグリナを除いた一部の信用できる人物にだけ伝えると会議を始めた。会議の内容は他国の侵略や、魔神の件についてだった。内容は単純で、このままどこかの国と同盟を結ぶのか、魔神が復活したことを公開し、魔王討伐と同じ時のように再び上部だけの同盟を結び、協力するのか。
話し合いは長く続いた。俺は一刻でも早くドラスの元に行きたかったが、今の地位がこんなにも邪魔になると思っていなかった。グリナは何も聞かされておらず、ただ単に魔法騎士団団長としての意見を言ったりして会議に参加していた。俺は、会議終了後にアル王子に呼び出される。
「ユイド。ドラスの件はどうだ?」
「...正直言って。俺とグリナだけじゃどうにも出来ないです。せめて勇者エルデルと、
「...あの二人の変わりなど」
そう、あの二人はもういない。だから、俺たちは二人で行くしかないんだ。魔神幹部と一人で戦っているドラスを迎えに行くために。だが、もし、俺の悪い予想が当たっていれば、俺はグリナに殺されてもおかしくないかもしれない。それだけは覚悟している。それに、ドラスならしれっと帰って来てそうだが。
「あの!アル王子!ユイド様!勇者エルデル様と盾剣ゼゴラ様たちが!!」
「は?まさかそんな訳」
「行って来るかい?」
「...ああ。すまねえ」
俺はこのヴァハニト王国騎士団長でありながら非常に礼儀もクソもねえただの平民上がりだが、あいつらだってそうだが、まさか生きているのか?ゼゴラはやっぱりかと言う感じはあるが、エルデルは確かに遺体を確認した。他人の空似?嫌、違うきっと違う。だが、俺は確かめずにはいられなかった。それに親友が生きているかも分からないのに、死んだはずの仲間が生きているかもしれないと言われて誰が耐えられる。
俺は城を飛び出し、そのまま城の門まで行くとそこには俺がよく知っているエルデルとゼゴラがいた。前と変わらない姿で、聖剣も持っているし、それに何より、ニーナまでいる。
「ゼゴラ、エルデルお前たち死んだんじゃ」
「僕はドラス君のお友だちに自殺しようとしているところを止められちゃって、それで暫く隠れていたんだ。すまない」
「俺は、まあ実際良いように使われて死に掛けたけど相手の国の王の顔面殴って来てやったぜ」
「ああ、嬉しいよまた会えて!」
ああ。と二人も言って俺たち勇者パーティーは再結成した。エルデルの所在の言及は既に報告し、ゼゴラは死んだことになっていたが、一部ではどうせ生きてるだろうと言ってどちらでもなかったのであまり影響は無かった。エリデルはちゃんと心の整理がついた見たいで、以前よりも逞しくなっていた。俺も、休暇を得てしっかりと休みを取ることが出来た。娘と遊ぶ時間も出来て心身共に休むことも出来て、夢みたいだが、エルデルもゼゴラも生きていて、上手く行けばニーナも回復するかもしれない。
「頼む。俺の親友が今戦ってるんだ。それの援護に行きたい。報告によると魔神も復活していて、並の騎士では恐怖で進めないらしい。だから、頼む!俺の親友を一緒に助けて欲しい!」
「何を言っているんだ。彼だって、僕らに大事な勇者パーティーの一人だ。ドラス君がいなかったらこの国は無かったかもしれないこと忘れたかい?」
「ああ。俺の親友は凄い奴だ。それに俺たちの仲間だ」
こうして、俺たち勇者パーティーは再結成することになった。死んだと思っていた二人は、生きていて、自殺しようとして、止めた理由は、ドラスの仲間が死を偽装してまでも、エルデルに時間を作ってくれた。これを無駄には出来ない。それにグリナならその場所に行くことは叶わないだろうけど、近くには転移出来るはずだ。
時間を掛けずにすぐにでも行くことが出来る。だが、その前に二人納得させなきゃ行けない人物がいる。ニーナとグリナだ。ニーナはエルデルの死を実際に見た訳じゃなかったが、自殺、そして、あの夥しい量の血、あの時のエルデルの精神状態を考えればそうなることは誰でも容易に想像出来た。
グリナは、ドラスが戦っている状態は知っているが、それは他の騎士もいるという前提の状況で説明している。ただ、この場合、グリナが一番心配だ。
それから国王様やアル王子に説得をして、エルデルは嫁であるニーナの元に帰り、なんとか説得することでニーナも勇者パーティーとして、来てくれることになった。こうして勇者パーティーは元に戻り、魔神討伐のために準備を始めた。
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