沈みゆく夕日

高畑メイ

第1話

秋というのに夏のような暑さが残る中私は産まれたらしい。

父はお酒が大好きで私がこの世に誕生した日も酔っていたらしい。

父方の祖父は私が初孫だった為、大喜びをし私の名を付けたのも祖父だった。

母はその名前をあまり気に入らなかったらしい。

しかし祖父にそんな事は言えず…。

そして…私が誕生してからが大変な毎日になる。

毎日、祖父母が家にやってきて夜まで私を独占していたらしい。

母にとっても初めての我が子…ゆっくり静かに過ごしたかったと最近私に話す。

父に言っても初孫なんだから仕方がないと言われたらしい。

父は長男だった為、余計に母は何も言えなかったんだと思う。

そして母方の祖父母にも可愛がられた。

初孫ではなかったが女の子の孫はたった私だけ。

両方の祖父母が家に集まっていたらしい。

母は大変だったと思う。

私だったら耐えられないと思うから。

私が一才になり…二才になると父の妹に娘が産まれた。

しかし祖父は相変わらず私に一心の愛情を注ぎ私に与えられるもの…おもちゃ…洋服…など全て与えてたらしい。

そして、私ばかり可愛がるので祖母によく怒られていたらしい。

私が幼稚園に通い始めると母は名付けて【チェッカーズ弁当】というノリを細く切りご飯をチェック模様にし間に甘い醤油で炒めた玉子を挟み可愛いお弁当を作ってくれた。

そのお弁当を今でも食べたくなる。

そして幼稚園がお休みの日は必ず父方の実家に父の兄妹が集まり私は祖父と手を繋ぎ駄菓子屋さんに行き好きなだけお菓子を買ってもらったのを覚えている。

お雛様…こどもの日…お誕生日…クリスマスはパーティーを開き私が欲しい物全てプレゼントされた。

なので案の定わがままな女の子に…。

運動会…お遊戯会…卒園式…イベント事には家族一同集まる。

私は自慢げだった。

だって大好きな家族みんながいつも集まってくれるから…。

ただやはり今考えると母が一番大変だったと思う。

私はどんなに愛情を注いでくれる祖父でもなく、父でもなく、母が昔から大好きだった。




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