第20話 あなたには何があっても教えてあげないんだから
あれからテーブルで屋台で買った食べたのを食べながら談笑をしていると、高崎さんが急に席から立ち上がり、蓮に少し耳打ちをしたのち、蓮も立ち上がったことで、二人でどこかに行ってしまった。
「あれ? 高崎さんどこに行くの? 蓮も」
俺が二人に声をかけたが、祭りにいる人たちの賑わいにかき消されたと思うため、俺の声は二人には届かなかった。
そして、再度目の前の二人にそう呼びかけようとしたところ。
恵花さんにそれを静止された。
「え? 二人そのまま行かせていいの?」
「いいのよ、それと穂乃果、今日決める気なのよ」
「決めるって……」
今の恵花さんの口ぶりから、今日高崎さんは蓮に思いを伝えるのだろう。
そう言うことなら俺たちは邪魔なので、しばらく二人でどこかに行ってよう。
俺と恵花さんは離れていく二人を見て、二人とは別の場所に歩き始めた。
「ねえ、間遠くん! あそこに売っているフライドポテト半分こしない?」
「ええ? うんいいよ」
俺たちは屋台を二人で見て歩いていると、恵花さんがフライドポテトをご所望するので、そこの屋台に向かい、ホカホカのフライドポテトを購入した。
そして、二人で空いているテーブルに座って一緒にフライドポテトをつまんだ。
「高崎さん、蓮とうまく行くかな?」
「うーん、それはわからないわ……だって蓮好きな人がいるみたいだし」
「え、恵花さんも知ってるの? そのこと」
「恵花さんもってことは、あなたも知ってるの?」
「うん、まあ……幼馴染だからってこの前教えてもらったけど、まさか幼馴染以外の恵花さんにも話しているとは」
「この前私が蓮に好きな人いるんでしょ〜? って茶化してたら教えてくれた……でもそれが女子バスケの有名な先輩だって知ってびっくりしたわ」
「そんなに有名な先輩なの?」
「ええ、学校内外問わずファンがいてすごくバスケが上手いらしいのよ」
「へえ、そうなんだ……名前はなんていうの?」
「ええと、確か
「小南萌音って……」
確かこの前天才美少女バスケ選手ってテレビで特集されてたあの人か!?
はえ〜蓮そんな大物のこと好きなのか!?
「蓮もすごい人を好きになったもんだな……」
「うふふ、蓮も大概でしょ……」
恵花さんは何かがおかしかったのか笑った。
まあ、蓮も高嶺の王子様って言われてるし、バスケも天才的に上手いし、そう考えたら蓮と小南萌音という先輩は意外とお似合いかもしれない。
「そういえば、恵花さんって好きな人いるの?」
俺は今の蓮の好きな人の話の流れで反射的に恵花さんに聞いた。
「え? まあ、好きな人ってよりは、気になる人ならいるけど……それをあなたにいうことはしないわ」
「あはは、恵花さんの気になる人って誰なの〜気になるな〜」
「あなたには何があっても教えないんだから」
恵花さんと俺はそんなことを話していると、俺のスマホに高崎さんから着信が来た。
俺は高崎さんから着信がくると、それに対して出ようかどうか迷ってしまった。
もし、高崎さんが蓮に振られでもしたら。
俺は彼女にかける言葉が見つからないと思うから。
そんなことを考えていると、恵花さんに肩を叩かれた。
「せっかく穂乃果があなたを頼ってるんだから、出てあげなさいよ!」
「わ、わかった……」
俺は恵花さんにそう背中を押されて、電話に出た。
「間遠くん……ちょっと今からいうところに来てくれないかな?」
単刀直入に言われた呼び出し。
声はとても落ち込んでいる様子だった。
「わ、わかった……どこに行けばいい?」
「えーとね、今からメッセージに送るね」
俺は恵花さんにそう言われて、メッセージに添付された地図に向かって歩いていた。
「わたしダメだった……」
高崎さんに呼び出された場所につくと、ベンチに座っていた高崎さんはそう言って話を始めた。
俺はその言葉を聞いて、恵花さんの横の空いているスペースに座る。
「ダメだったか……」
「うん、蓮くん好きな人がいるんだって……だからわたしとは付き合えないって」
それは先ほどの小南先輩のことか。
「わたしは蓮くんにもし好きな人がいても、もしかしたら……わたしが想いを伝えれば振り向いてくれるかもなどという淡い期待を抱いていたけど、でも結局ダメだった」
俺はかける言葉が見つからなかった。
こういう時、蓮ならなんで回答するのだろうか。
幼馴染はこういう時なんて言って励ますのだろうな。
「た、高崎さんはすごいよ……想いを伝えるだけ、俺なんかいざ好きな人ができたとしても、思いなんか伝えられなさそうだもん」
「間遠くん、慰めてくれてるの?」
「あ、いや……こんなのが慰めになるかはわからないけど」
「えへへ、間遠くんは優しいな〜」
彼女はそう言って目から雫をこぼす。
「わたし……蓮くんのこと、奈々と間遠くんを除いて一番知ってる気になってた……でも、蓮くんには知らないことがあって、蓮くんはわたしの知らない人が好きで……わたしは思い通りにならないことに若干の怒りさえ覚えた、蓮くんに振られた時ちょっとした怒りを覚えてしまった、はあ〜わたし何やってんだろ」
「別に何もおかしくないと思うけどな」
「……へ?」
「だって自分の思い通りにならなかったら怒りを覚えるのはそんなに珍しいことじゃないし、別にそれをおかしいとかそう思う必要もないってことだよ」
「それに多分怒りっていうのは、自分に対してで」
「自分に対しての怒り?」
「うん、蓮くんに振られたからその……これから蓮くんと話す時、気まずくなっちゃうかもしれないじゃん、わたしこれからも蓮くんとお話ししたいのに、告白したせいで気まずくなってこれからもうお話できなくなるとか、そんなことを考えていたら自分に怒りが湧いてきて」
そういうことね、恵花さんは自分を振った相手である蓮に対する怒りじゃなく、告白してしまたまた自分に対する怒りが湧いているということか。
「まあ、その件に対しては大丈夫だと思う!」
「へ? どうして?」
「中学生の時にさ、蓮とっても仲のいい女の子に告白されたことがあってさ! そのあとその子は蓮に振られて……最初はお互い気まずそうにしてたけど、後々告白する前みたいにお互い普通に会話してたよ!! それに、蓮は思いを拒んだからって後々引きずったり、気まずくなったりするやつじゃない、だから大丈夫だ! 自分がこれまで通り話したいっていう気持ちを持っているのであれば、きっと蓮も答えてくれる!!」
俺が彼女に蓮に関する昔のことを話すと。
「わたしこの後、蓮くんに話してみようと思う」
「蓮くんに話して、これからも仲良くしたいって伝えるつもり!」
「うん! 頑張って! なんなら俺も手伝ってあげるから!」
「うん! ありがと!」
高崎さんは俺に感謝を述べるとベンチから立ち上がる。
「ああ〜なんかスッキリした〜! 人生初めての失恋だけど〜! 人に話すことで案外楽になるもんだね〜! ありがとう間遠くん!」
高崎さんはベンチを立ち上がり俺に感謝を告げた。
声はどこかスッキリしたような、悩みから解放されたような声質をしていたが、顔は反対にまだ引きずっているような感じだった。
「ねえ、高崎さん……強がんなくてもいいよ……泣きたい時は泣けばいい……幸いここには俺しかいないんだから、その……思う存分泣けばいいと思う、俺このこと誰にも言わないから」
俺は彼女が強がりから涙を堪えて恵花さんたちの元に戻ろうとしたので、そう言った。
「ちょっと……間遠くん、ちょっと胸貸してもらってもいい?」
「え? いいけど」
俺がそういうと、彼女は俺の胸の中で泣いた。
今まで聞いたことのない彼女の泣き声。
それが失恋の重さを思いがたっていた。
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