第2話 白いタンクトップの女



 女子大の前でワケありな感じで泣いてる美女に助けを求められる……なんてことも無く。

 無難に卵色のバスに乗る。

 乗客は少なく無いけど 運良く後ろの席が空く。

 ツイてるってほどや無いにしても そこそこラッキー。

 そんなこと思てたら 3つ目か4つ目のバス停で あの女がバスに乗り込んできた。

 マジで ツイてんちゃうん?


 白いタンクトップの巨乳女。


 ニットに包まれた超肉感的なオッパイもさることながら キュっとくびれた細腰。

 薄手の白いパーカーを その細腰にパレオ巻きにしてオレの前を通り過ぎた。

 パーカーの下 海老茶色のスリムデニムのお尻がこれまた肉感的。

 思わず目で追ってしまう ええ女。

 グラサンしてて よかった~って思う。

 でも 声を掛ける間もなく 他の乗客に押されるようにして 運転席間際までいってしまう。


 遠目でもええし 目の保養してたかったんやけど ニットの女は 2つ先のバス停で降りってった。

 残念やったけど まっ そんなもんさね。


 スマホを開き SNSをチェック。

 

 紬>光岡に旅行に来てま~す

 紬>パワースポット巡ったり 美味しいもの食べて 浄化されたいです~


 FFの紬さんも 星光市に来てるらしい。

 紬さんは 趣味垢で時々交流するFFさんで 神社やお寺 パワースポットが好きな女性。

 行ってる場所から 想像するに 関西在住らしい。

 写真は星光空港みたいやし 関空から飛行機かな?

 たぶん 大学生やないかなっておもてるけど どーやろ?


 糺>奇遇です。オレも光岡旅行中です!

 糺>もしかしたら 何処かでスレ違うかも?


 せっかくやしレスを返しておく。

 

 そんなことしてる間に オレを乗せたバスは さらに走り広照院前でオレを下ろす。

 広照院は旧光岡藩きっての名刹 是恩寺って禅寺の塔頭の1つで 枯山水の庭園でけっこう有名や。

 オレが この旅をしようって思ったきっかけの星光市のバナー広告にも使われてた。

 ほんまに ここんところ 心に波風立ちまくりやし 石庭でも見て 心 落ち着かせよう。

 侘び寂びの境地で 心のササクレを何とかしたい……ホンマに。

 


 ☆☆☆

  


 白砂から 伸びる石柱と緑の苔。

 


 世の無常と心の平安を表現した名園も オレの邪念の炎を鎮めてはくれへんかった。

 さっきの女の胸と尻が オレの目の前をチラつく。

 服装や髪型はハデ目ってワケやなくて どっちかってゆーたら清楚系なんやけど カラダが男知ってるのを 隠し切れてへん感じ。 

 絶対に〈処女〉や無いと思う。

 若いくせに 漂う色気。

 

 

 オレも 知ってる女は こないだ別れた彼女1人ってワケでもない。

 中学時代から 何人かの女と付き合ったし 大学時代のテニスサークルは ヤリサーってほどやなかったけど けっこう ユルめのサークルやったから 色んな女と寝た。

 そんなオレから見ても すこぶるが付くような ええ女。

 

 オカンの話やと木綿子ゆうこのヤツ オレの真似して 似たようなサークル入ってツマラン男と付きうてるみたいや。

 でも まぁ 臆病で泣き虫やったアイツも コンタクトにして 髪もちょっと明るうして 少しは垢抜けた。

 もう 二十歳越した ええ大人やねんし オレが どーこーゆーようなハナシでも 無いねん。

 アイツが 何処で 誰と寝るかは アイツ自身が決めること。

 痛い目見ても 自己責任や。

 ……でも 泣いてるとこは 見たないな。

 オレの見てへんところで 泣いとけよ。


 

 ☆☆☆



 糺>広照院の月影庭と忍池 いい感じに撮れました~。


 WAO>木洩れ日の光線が綺麗に撮れてる!

 WAO>糺さんのセンス サイコー(* ̄∇ ̄)ノ


 

 WAOさんから ほぼ即レス。

 土日の昼間は 大抵 即レス。

 平日の昼間も速いんやろか?

 オレ仕事してるし 知らんけど。

 普段何してる人なんやろな……。


 一応 お礼のレスを返しておく。

 

 

 広照院を出て是恩寺の他の塔中も見て回る。

 そこまで有名やないけど 室町後期の禅宗建築や明治大正期の華族庭園なんかも残ってる。

 是恩寺の広い境内を抜けて 六ヶ杜緑地公園を歩く 美大やら県立図書館 市立博物館なんかが 広大な土地に点在してる文化地区。

 東京で言うたら上野。京都やったら岡崎って雰囲気の場所。

 ゆっくりと散策しながら SNSに写真をアップしもって レスをチェック。


 

 紬>三岡神社 行ったんですね。写真ありがとうございます

 紬>私も 行く予定で~す

 紬>ホントに奇遇ですね。良いお天気で良かったです。


 

 紬さんも 三岡神社に行くらしい。

 もう一度 引き返したら会えへんかな?

 ……いや。完全にストーカーやしアウトやな。


 紬さんは 真面目な感じの人。

 FFさんへの応対も丁寧やけど 少し控えめな感じ。

 なんとなく お嬢様大学生ってゆー気がする。

 大人っぽい感じもするから 三十歳くらいのOLさんかもしれんし なんなら ええ歳のオバサンかもしれんけど 文体とかは なんとなく若そうなイメージ。

 オレと同じ神社巡りが趣味やけど オレみたいに歴史が趣味ってワケやなくて パワースポットとか浄化とか そーゆー系がキーワードみたいやな。

 

 そこら辺は 昔の木綿子に似てる気がする。

 オレに付き合って神社行ってた時も 御神木とか御磐座とか そんなん好きやったもんな。


 まぁ お嬢様大学生ゆーても たぶん彼氏持ち。

 前に チラッと『今日はデート』みたいな投稿してた。

 今回の光岡旅行も 1人旅かどうかも分からへん。

 女友達と一緒かもしれんし 彼氏と一緒かもしれん。


 変にリアルで絡みに行くより 今まで通りの対応が吉やな……。

 

 予定通り 市立博物館で『日本の耽美主義文学と美術 ~鏡花 乱歩 潤一郎 と 城隍~』 展に行って 城隍の『月と桜』を拝んどこ。

 その後は 市立美術館の横抜けて 旧花街やってゆー弁天町。

 最後は 三岡稲荷へと向かおう……。




 ☆☆☆☆☆



 この作品は単体で読んでいただいても

 並行作品の【side Tsumugi】と交互に読んでいただいても

 楽しめる作品になっています。



 『紬と糺』【side Tsumugi】第3話〈七海堂〉へ

https://kakuyomu.jp/works/16818622170939079004/episodes/16818622170940734811


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