第49話 魔導大祭2 オーロラ・アイスヴェイン[魔導大祭編]
今日は、魔導大祭ということもあり、普段魔法学校には入れない、アズルナ達もいる。さっそく、決勝トーナメント1戦目が始まった。まずは魔法の部だ。1戦目からセレナちゃんの登場だ。しかし、対戦相手は強敵…アイスヴェイン家の次女、オーロラだ。アイスヴェイン家は、フロストバレル家の親戚で、魔道具の製造を専門とする会社を経営しており、市場シェアトップを誇る。賢神様たちからも一目置かれる存在だ。アイスヴェイン家の次女、オーロラは、何でも凍らせることで有名だ。風も炎も土も、どんなものでも凍らせてしまうほどの魔力を持っている。さらに、オーロラ・アイスヴェインには「オーロラ親衛隊」と呼ばれる熱狂的なファンがいるほどの人気者だ。
さっそく、親衛隊が騒ぎ始めた。
「くりっとした目で冷ややかな視線を送られたらたまらない! あー、俺もオーロラ様に粉々にされたい…!」
「お前には無理だろ! 予選1回戦で落ちたじゃないか。」
「そうだった、てへぺろ。」
どこの世界もオタクは元気だな…。
そんなことより、セレナちゃんは勝てるだろうか…。いや、セレナちゃんを信じて応援するぞ! と考えていると、レーザー先生とレティがやってきた。
「ヴェス君、今日も可愛いね。」
「ヴェスー!」
と話しかけてきた。
「相手はアイスヴェイン家でしょ? 大丈夫かな?」
とレーザー先生が言った。
「セレナちゃんなら大丈夫ですよ! 彼女は強いですから!」
と俺は答えた。
「私も同じこと考えてたよ。」
とレティが言った。
「って、先生、こんなところにいて大丈夫なんですか?」
と俺が聞くと、先生は、
「あっ、仕事に戻らなきゃ! でも、ヴェス君を定期的に見ないと元気が出ないからね!」
と言って去っていった。
さて、1戦目の選手入場の時間だ。会場にラッパのファンファーレが響き渡った。
その音に、ラミッサとメドルナが反応する。
ラミッサは、
「おお! すごい! 人がいっぱいだ! めっちゃ盛り上がってるね!」
と言った。
メドルナは、
「うおおおおおおおおおお!」
と興奮している。お前は動物か、とツッコミを入れたくなった。
そして、ルビルナがこう続けた。
「まぁ、楽しみではないわけではないわけではないわけではない。」
いや、どっちだよ…。
最初の入場はセレナちゃんだ。歓声はまばらだ。そこで俺は、
「セレナちゃん、がんばれー!」
と大声で叫んだ。
その声に気づいたのか、セレナちゃんがこちらを向いて手を振ってくれた。まるで前世の天皇陛下のような、優雅な手の振り方で、それが何とも可愛かった。
次はオーロラの入場だ。セレナちゃんとは違い、大歓声が巻き起こった。無理もない。あんな有名なお嬢様なのだから…。でも、負けずに頑張れと、俺は心の中でセレナちゃんにエールを送った。そして、オーロラにプレゼントが投げられている、まるで前世でのフィギュアスケートを見てるかのようだ。意外と選手がよく見える席に座れたので、セレナちゃんの様子がよく分かる。
試合が始まった。
オーロラが口を開いた。
「私はオーロラ・アイスヴェイン。アイスヴェイン家の名にかけて、あなたみたいな者に負けるわけにはいかないわ。少し学園で有名なエルフらしいけど、あなたなんか30秒で倒してあげる。私が負けたら、なんでも言うことを聞いてあげるわ。」
と言った。
セレナちゃんは表情を変えず、
「よろしくお願いします。」
とだけ答えた。
セレナちゃんが、
「ストーム・ジャッジメント!」
と魔法を唱え、巨大な竜巻を複数発生させた。相手が強敵だから、最初から全力だな、と思っていると、オーロラは、
「アブソリュート・ゼロ!」
と唱えた。
「出たー! オーロラお嬢様のアブソリュート・ゼロ!」
とオーロラ親衛隊が騒ぎ出した。
客席からは「いいぞー! いいぞー!」と歓声が上がる。アブソリュート・ゼロで、竜巻が凍りついたのだ。
今度はオーロラが攻撃に転じた。
「スターフォール・ブリザード!」
と唱え、複数の巨大な氷の隕石を降らせた。
すかさずセレナちゃんは、
「エア・ブロッカード!」
と複数回詠唱し、風の盾を生成して、降り注ぐ氷の隕石を防いだ。
その間に、セレナちゃんは数十秒の詠唱を行い、緑色に光る魔法陣と共に召喚魔物を呼び出した。風の精霊シルフだ。風の精霊シルフを召喚すれば勝てるのだろうか。いや、今回の相手はそれだけでは勝てるとは言い切れない。
観客からも驚きの声が上がる。
「シルフが無詠唱で風の盾を数十個、いや数百個も生成してるぜ! こりゃ面白い! このエルフの子も優勝候補かもな!」
と観客の一人が叫んだ。
そして、オーロラが再び口を開いた。
「あなた、やるじゃない。認めてあげるわ。その強さ、でも、これはどうかしら!」
と言い、長い詠唱を始めた。すかさずセレナちゃんは、
「スカイリフト・ロア!」
と何度も唱え、超音波の衝撃波を放ち、オーロラにダメージを与えようとした。
しかし、オーロラには効かなかった。魔法を防ぐ氷のバリア、クリスタルウォールを無詠唱で展開していたのだ。
「あなたも強いけど、私の方が一枚上手だったわね。」
と言いながら、オーロラは詠唱を続け、ある魔法を唱えた。
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