祖父の夢
愛果は就職して数年、職場の人間関係が上手くいかず、修行も上手くいかず落ち込んでいた。
久しぶりに、ダグラスと春樹さんと食事することになった。
愛果は悩みをダグラスたちに聞いてもらった。
ダグラスは「その先輩、愛果にあたりが強すぎだよな」と言った。
春樹さんも「俺もそう思うよ」と同意した。
愛果はダグラスたちと楽しい話もして、また近々会おうと約束し解散した。
愛果のことを心配していたダグラスは、昔のように仕事が終わった後に送迎をすることにした。
愛果の仕事終わり、ダグラスは玄関ホールで待ち合わせた。
降りてきた愛果はダグラスの方へ駆け寄った。
それを見ていた当たりの強い先輩が、こちらに来て
「あなた、会社で待ち合わせなんて非常識よ」と咎めた。
愛果は「えっ……ごめんなさい」と謝った。
するとダグラスが
「会社のエントランスで待ち合わせは非常識じゃないよ。周りを見てごらん?ここで働いている人たちはここで待ち合わせしているよ?」と反論した。
そこに主任が来て、
「どうかしたの?」と声をかけた。
すると先輩は
「この子が非常識なので注意していました」と言った
主任は「待ち合わせのことかしら?それなら私が許可したわよ。皆、待ち合わせで使っているわよ?」と伝えた
先輩は悔しそうに愛果を睨みつけて帰って行った。
主任は「大丈夫?あの子、うるさいし、せっかちよね。気にしなくていいわよ」と愛果を慰めた。
愛果は「助けて頂いてありがとうございます」とお礼を言った。
主任は「気にしないで、いいのよ」と
愛果に言うとダグラスに英語で挨拶をし、何かを話していた。
「邪魔したわね、また来週ね」と主任も待ち合わせの人と帰って行った。
ダグラスは「愛果に味方がいて少し安心したよ」と言った。
愛果は「主任が介入したのは今回が初めてだよ」と驚いた様子で答えた。
ダグラスは「見兼ねたみたいだよ、あまりにも強く当たるから」
愛果は「英語で話していた内容ってそれ?」と尋ねた。
ダグラスは「うん、まぁね」と曖昧に答えた。
二人は食事をして帰った。
その夜、愛果は夢の中で白装束を着た人が、明るい光の中にいるのを見た。
あの白装束の人、誰だろう???
今日は修行の日だ。
行こうと気合を入れて向かった。
修行場で久しぶりに師匠に会った。
師匠は愛果の上をじっと見つめていた。
「最近、何かあった?心配しておじいちゃん来ているよ」と声をかけた。
「えっ?おじいちゃん?あっ?あの夢、おじいちゃんだったのか」と愛果は驚いた。
「心配して側にいたけど、今、愛果ちゃん落ち込んでいる時だから気付かなかったでしょ?だからそばにいるよって夢で伝えたかったみたいよ」と師匠は説明した。
愛果は嬉しさのあまり涙を流した。それと同時に心配をかけて申し訳ないと思った。
「申し訳ないって思わなくていい。血が繋がっていなくても孫は孫だから」と師匠は優しくおじいちゃんの言葉を愛果に伝えた。
「おじいちゃん、ありがとう」と愛果は心の中で伝えた。
愛果は、相手は鏡、自分が変われば相手も変わると修行で習い実践した。
自分の態度も悪かったと気付き改めた。少しずつ、先輩の当たりの強さは軽減されていった。それでも、辛い時は落ち込んでいたが、皆に助けられなんとか仕事を続けていた。
ある時、先輩が退社すると小耳に挟んだ。
女子ロッカーで女子社員たちが
「あの人、やっと退社するらしいよ」
「やっといなくなるんだ、平和になる〜」
「毎回、上から目線で言ってくるから苦手だったのよ」と、先輩と仲良くしていた人たちが話していた。
愛果は、あの人たちは苦手でも上手く付き合っていたんだなと感心した。
休憩が終わり席に戻ろうとドアを開けると、先輩が間違いなく話を聞いていただろうという表情をしていた。
愛果は、私は関係ないですよ〜という顔をして、さらっと仕事に戻った。
その仕事終わりに先輩が来て、
「私、今日付で退社だから、お疲れ」と言い、早足で帰って行った。
次の日、出社すると気付いたことがあった。いつもなんとなく、皆どんより、ピリッとしていたのに、今日は明るいような?場がきれいな感じがする?
上手くいかなかった先輩が辞め、人間関係が良好になった。
修行も上手くいきはじめた。
先輩が辞めてから戻ったような?と思っていると師匠と会った。
「合わない相手っているんだよね。それに、先輩に憑いていたものが職場の気を吸っていたからね。重たい空気だったんじゃない?」と師匠は言った。
「はい、今日感じました。空気がきれいな感じがしました」と愛果は答えた。
「でも、愛果ちゃんには良い修行だったね」と師匠は微笑んだ。
(かなり状況は厳しかったですけどね……)と愛果は心の中で思った。
話していると、隣におじいちゃんが現れ、「頑張ったね」と微笑んで上に戻った。
「おじいちゃんと会えてよかったね。安心して戻ったね」と師匠は言った。
「はい、気持ちを新たに頑張ります」と愛果は答えた。
「気付いていると思うけど、愛果ちゃん、後ろね。霊力落ちている間にたくさん憑いちゃっているから」と師匠は真剣な表情で言った。
「あっ、はい」と愛果は頷いた。
愛果は手伝ってもらい、憑いたものを全部祓っていつもの日常に戻った。
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