第3話 韓流アイドルの話で盛り上がる。

 帰り支度をしてると、「杏奈、途中まで一緒に帰りましょう」と、滝真由香さんに言われた。

 

「えーっと、知り合いでした?」

 クラスメイトのやっかむような視線を気にしつつ、わたしは聞いたのだけれど。

 真由香さんはわたしの手をとると、機嫌良さそうに歩き出す。鼻歌なんか歌いながら。


「その曲、ルシフェルですか?」


 馴染みあるメロディに、思わず聞いてしまう。


「ええ。わたくしはシンラが推しですのよ」


 リィくんと仲の良い、銀髪のシンラ!!!

 リィくんはルシフェルの「みんなの弟分」って感じで、シンラは逆にリーダー格なんだ。


「あのー。もしかして、ルシフェルのYouTubeなんて、見てます?」

 わたしの目はきっとキラキラしてるよ。


 真由香さんは恥ずかしそうに頬を染める。

「わたくしはスマホもありませんし、ブルーレイも家にありませんゆえ。杏奈と仲良くなれば、色々見られるかなと」


「えー。じゃあ、今度うちに来てください。山の中にありますけど」


 ウキウキしながらわたしが言うと、


「横から失礼。スマホもないなんて、怪しさ満載だな。あんた、何者なにもん?」


 ふっと真横に気配を感じた。優希くんが廊下の端にいて、腕組みしながらこちらを見てる。真由香さんを怖い顔をしてにらんでる。


 優希くんはわたしにいつもの「じゃあな」の挨拶もせずに、先に帰るみたい。歩くのが早い。後ろ姿がぐんぐん遠ざかる。機嫌が相当悪そう。珍しいな。


 真由香さんも若干、虫のいどころが悪いのか。

 優希くんを見て、眉を少ししかめてる。


 真由香さんが優希くんと仲悪そうなのは気になったけれど。

 彼女と一緒に帰りながらの韓流トークはとても楽しかった。

 友達になれたらいいな。真由香さんと。

 6月の終わりの湿気の多い風が吹く。一雨来そうだった。


 真由香さんの家を聞いたけれど、あいまいにはぐらかされた。わたしの乗るバス停まで一緒に歩いてくれた。わたしがバスに乗ると、窓の外から嬉しそうに手を振ってくれた。

 

    

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