03
気がつけば私はそこにおりました。
ここが何処かも分からず。
自分が誰なのかも分からず。
自分の名前すら思い出せない。
周囲に人気はなく。
獣も居ない、虫ケラの一匹も見当たらない
たったひとりで私はそこにおりました。
宛もなくナニかを探して彷徨い歩き。
何も見つけられず。
何処かに辿り着きもしない。
ふと見つけた神社の社を何となくの居場所にすることにした。
しかし。
不思議なことに。
腹は減らず。
喉も乾かず。
疲労も無く。
眠気も無く。
ただただ時間だけは過ぎ去り行くも。
老いもしない。
死ぬことすら叶わない。
これは一体なんの罰なのかーーそう思わずは居られない。
そう、これはおそらく私に与えられた罰なのだろう。
そうだ。
私は何か罪を犯したのだろう。
だから記憶を奪われ。
誰もいない私ひとりだけの世界に閉じ込められ。
無限に無意味な時間を廻り続けろ。
そういうことなのだろう。
1日……。
1週間……。
1ヶ月……。
1年……。
日を数えるのにも飽きる。
日を数えるのを辞めてからどれだけ時間が流れたか、もはや分からない。
それでもこの無限牢獄には何の変化も無い。
何時になったら私は許されるのだろうか。
何時になったらこの世界に変化が訪れるのだろうか。
何時まで私はここに居ればいいのだろうか。
何時まで……何時まで……何時まで……。
暇だ。
暇で、暇で、仕方が無い。
記憶が無いことが、こんなにも不便なことなのかと思う。
暇を潰す為の知識が何も無い。
何も無い。
何をすればいい。
分からない。
分からない。
分からない。
何も分からない。
ごろりと床に転がる。
相変わらず眠気は無い。
目を閉じてみるが、視界が暗くなるだけだった。
むにゃりっ♡
気がつくと私は自分自身の豊満な胸の脂肪を掴んでいた……。
揉んでみる……。
揉んでみる……。
揉んでみる……。
「……んっ」
自分のモノとは思えない艶やかな喘ぎが知らず、口から漏れ出てきた。
これが始まりのきっかけである。
そうして私は色に狂って逝く事になる。
人の3大欲求である食欲と睡眠欲が奪われた私には辛うじて性欲だけが残されていたのであった。
腹を満たす必要は無い。睡眠をとる必要も無い。疲れることも知らないこの身体で私はひたすら色欲に溺れた。
来る日も来る日も自分で自分を慰める。
脳が焼きれるまで快楽で燃やし尽くす。
焼いて、焼いて、焼いて……。
ふと我に返ると猛烈な孤独感に襲われた。
虚しい……。切ない……。
空虚。心に巨大な空洞が空いたようだ。
それを埋めようとまた自分を慰めるが、その空洞が埋まることはなく、さらにその大穴は肥大化していく。
誰か……。
誰でもいい。
誰か、誰か、誰か。
助けて。
助けて。助けて。助けて。
お願い。お願いします。お願い。お願い。お願い。
しかし、願いは届かず無意味な時間ばかりが過ぎていった。
◇
「ーーんな事情、俺が知るかッ!ボケがっ!」
「そんなこと仰らず!先っぽだけ!先っぽだけでいいのです!」
「それで言って先っぽだけで済む事例が何処にあるんだよッ!クソボケッ!」
「私、記憶喪失なので分かりませーん」
「都合よく記憶喪失を持ち出すんじゃねぇッ!」
全力疾走でオ〇ニー狂のドスケベ淫乱変態デカチチ女から逃走中。
どうしてこうなったッ……!
しかし、アレだな。
不思議な事にいくら走っても、まったく疲れないから何時までも走ってられる。デカチチ女の言う通りだ。
そして、それは女の方も条件は一緒なので、この調子だと地の果てまで追いかけっこをすることになりそうだ。
若干ではあるが、俺の方が僅かに足は速い。徐々にではあるが女との距離が離れつつあるような気がしないでもない。
「お願いおち〇ちんさん!私をひとりにしないでッ!おち〇ちんさん!」
「名前みたいに呼ぶんじゃねぇ!悲痛な叫びと下ネタを混ぜるな変態!」
「私の心に空いた下の穴はおち〇ちんさんにしか埋められないんです!お願いします!私の傍に居てください!」
「ホント酷い下ネタだな!お呼びじゃねぇんだよバカがッ!」
捕まってたまるか!こんな変態女に捕まったら何されるか分からんわ!まあ、ナニされるんだろうけど!うっせぇ!やかましいわッ!
「私とまぐわることになんの不満があるのでしょうかッ!私は見ての通り男性の情欲を掻き立てる身体をしてると思うのですがッ!」
「確かにそれはある」
「だったら私とまぐわりましょう!この身体は貴方の好きなように扱ってくれて構いませんよ!貴方の望むまま、思うままに私の身体を貪り喰らって、猛る欲望を私の中に直接ぶち撒けて下さい!」
言うて魅力的な提案である感じはするけども。
いや、そういう問題でもなかろうて。
こんなヤバい女とまぐわった結果。さらなるヤバい事態に巻き込まれる可能性は否めない。というか、その可能性、大。
こういうのに限って結局なんのかんので責任取れだとか、なんだとか言ってくんだろ?知ってる。
となればやっぱり逃げるしかねぇ!
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