第15話
「まずはこっちの村ね」
屋敷を背に左側を指さす。
少し歩くと日本家屋のが多く、まったりとした静かな場所だ。
「南ノ島は2つの村に別れてて、ここは
民家と田んぼがあるくらい。
「こっちが
洋風な民家が多く、火垂村より2階、3階建てがチラチラある。賑やかで笑い声が聞こえてくる。
『まだ1つに戻ってやかったのか?』
「焔は昔を知ってるんだっけ?これでもマシになったんだよ」
母の紅音の父親で美虹にとってら祖父の時代よりもずーっと昔、島の住人同士が争い、中立である神屋敷家を除き、1つの島が2つに別れた。今の時代から見れば些細な事でも昔は大事だったそうな。
長い間、仲が悪かった住人たちも時が経ったことで穏和されていった。
今では村として残りつつ、良好な関係になっている。
『そうか。前の神子が頭抱えてたから気になっていたんだ』
「前?」
『俺は神通力を持つ者を神子にしていた。100年前のは神通力が米粒程度しかなくて、神子にするか50年くらい悩んでいたら死んでしまったが。前の神子は200年前の話だな』
「50年は悩みすぎ」
神からみたら一日とか数秒くらいなんだろうけと、強引傲慢な焔のお世話をしなくて済んだのなら運が良かったのかもしれない。
焔によると島の視察は神子に任せていて、神子が年老いたり、いない時期は焔や焔の命令でカトレアが野生の鹿を率いてやっていたんだとか。
2つの村をざっと周り、次に来たのは市場だ。
ここでは生活に必要な物を買っている。
ほとんどは食料品だが、生活品も売っている。
生活必需品は月一回の物資で頼めるのだが、文房具や洗剤などの消耗品類は無くしたり、次の物資が届くまで使い切ってしまう場合は多く仕入れている店に買いに行く。
美虹は市場に来て、早々にしまった!と思った。
村側には運良く人を見掛けなかったのだが、市場は違う。人が多く、「え?誰?」「見掛けない顔ね」などとこちらに目を向けてくるのだ。
超絶美形ってだけで目立つ。
島の住人だけではなく、アヤカシもいるようだがアヤカシは察したのか頭を下げたり、気まずいのか立ち去ろうとしている。
『皆、美虹の顔に釘付けだな』
「違うから…私じゃなくて焔をみてるの。島の住人は全員顔見知りだから、知らない人がいるだけで目立つのよ」
『なるほどな。俺は朱雀の焔と言う!ここにいる美虹は俺の神子であり、番だ!俺は暫くこっちにいるから世話になるぞー!』
住人たちに向かって大声で叫ぶ焔。
叫びながら美虹の肩を抱き寄せる。
「ちょっと!勝手に!」
美虹は心の中で悲鳴を上げた。
まだ番と認めていないし、諦めさせたいのに周知されてしまってはやりにくくなってしまいそうだったからだ。
それを聞いた人々は焔に頭を下げつつ「美虹ちゃん、おめでとう!」などと歓迎ムードでゲンナリするのだった。
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