村長さんとお武家さま2025の3

ひぐらし ちまよったか

妖精

『――あ~、つまり、この男が秘密結社の構成員である……と?』


「そうじゃ、ギルド長」ぷにぷに。


「違法な販売、もしくは転売を生業としている悪の組織『トリの降臨』の、犯罪工房で働いていた職人です」


『――気を失っている、ようだが?』


「あまりに卑劣な悪行を目の当たりにして、つい、当て身を喰らわせてしまったわい。わっはっはっ」ぷにぷに。


「証拠の品の『海賊版ストラップ』も、これ、この通り……ちょっとお武家さま? あんまり証拠品で『ぷにぷに』遊ばないで下さいよ」


「う、すまぬ……この指ざわりが、あとを引いてしまって……」ぷにぷに、ぷるん。


「だめです。ちゃんとギルド長に提出して下さい!」


「そ、そうかい? じつに名残り惜しいのう……」ぷにぷに……。



『――分かった……この男には後ほど事情を聴くとしよう……今日の所は宿泊先へ戻って構わないぞ』


「うむ。時間も遅いことだし、そうさせてもらおうか」


「そうですね、お武家さま」



 〇 〇 〇



「いや、活躍しちゃいましたね? アタシたち」


「うむ、よい仕事をした。メシも美味かろう」


「あれ? なんかキラキラした虫みたいなのが向かって来ますよ?」


「えっ、蛾? こわいよ、そんちょう!」



『――君たちだな? わが同胞をギルドへ引き渡したのは』


「むむっ、虫が話した?」


「あっ! 妖精ですよ、こいつ。キラキラしてたのは『スパンコール・メッシュのタンクトップ』です!」


「おう、胸毛が、とげとげしいのう!」


「口ひげも立派ですね」


『……どうも、ありがとう……しかし! 君たちの行ないは許されない。お仕置きが必要である!』


「えっ! いきなり敵意を向けられた」


「なんですか、アナタは。私たちが、いったい何をしたと?」


『我が名は、フレディー……妖精女王・フレディーで、ある』


「ふ……フェアリー・クイーン・フレディー……」


『いかにも!』



 〇 〇 〇



「――と、つづく前にいつもの『お題の消化』ですね」


「うむ、村長『妖精』と掛けて、なんと解く?」


「はい『悪役令嬢』と、解きます」


「そのココロは?」


「じつは『薄幸(発酵)』でした」


「そのとおり!『ミルクを酸っぱくする』のは妖精さんのイタズラでは、ないのだゾ。中世の民よ」



 ――次回作へ、つづく。

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