第48話 何故か今は
こいつがここに住んで10年。もう60歳が見えてきたが体はまだまだ元気だ。元気ではあるのだが、だんだん長距離の移動はきつくなってきた。
山野は家に置手紙をしてから俺を殺しに来た。死ぬつもりで、刺し違えるつもりで来たのだ。
それが今はどうだ。そのババアは隣でダルそうに寝ている。
「自分を殺しに来た女に優しくできる男気に惚れちゃった」なんて言っていた頃はまだ美人の面影があったのが懐かしい。
当時はDV夫に精神を壊されており、僕なんかに惚れてしまったらしい。今はそれを悔しそうに話すが、それでも楽しそうだ。
そうして僕の穏やかな孤独の日々は終わり、2人で暮らす楽しい毎日になった。
食べ物は2倍消費するが、それもなんとかなっている。
2人で畑を管理し、山を歩いて木の実を集め、川でサワガニや魚、カエルを捕まえる。2馬力になったことで水車も改良されて生活は楽になった。
やはり人は孤独に生きる動物ではなく、誰かと共に生きる動物のようだ。
僕の人生はこれで良いのだろう。
このまま年老いて動けなくなって、やがてどちらかが先に死んで、あとを追うようにもう1人も死ぬだろう。
最後はどこかの崖から落ちたり、土砂崩れだったり、そういう悲惨なものの可能性だってある。
でも、それでもいいと思える。
僕はもう僕の人生に満足したから。
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