第45話 帰れ
イモを食べていると、家から山野さんが出てきた。「イモ食べるか?」と聞くと首を横に振ったので無視する。
元気になれば「殺してやる」とか騒ぎ出すのだろうか。だとすれば天晴、見事なり。僕は潔く首を差し出すので介錯してもらいたい。
「気が済んだら帰ってくれ。それか、俺を殺したいなら切れ味のいいナイフでやってくれ」
「ありがとうございました」
「なんで礼を言うんだ」
「殺そうとしたのに助けてくれたから」
「死体をそのままにしたら川が汚染されると思っただけだ」
「だとしても、布団とか、水とか、手当とか、ありがとう」
山野は立ち尽くし、こっちを見て何かを考えている。
「もういいか?帰ってくれ」
「私ね、ちょっと精神的に参ってて」
「言い訳はいい、帰ってくれ」
「ちょっとくらいいいでしょ?家に帰っても話せる人もいないから」
「俺には必要ない」
「私には必要なの。じゃなきゃまた殺しに来る」
「そうか、それでいいから帰ってくれ」
「冷たいね」
「さっさと帰れ」
女はまた考える顔をして部屋に入った。
イモを食べ終えて部屋に入ると布団にくるまっている。
まったく、なんなんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます