阿澄ちゃんが透けててどうしよう!?

第22話 「……そんなに、透けてるのが気になる?」


「暑すぎる……」


 ギラギラと、突き刺すような熱を地上へ向ける太陽。

 手の甲で目元を隠しながら見上げた阿澄ちゃんは、柄にもなく鬱陶しそうに漏らした。


 無理もない。


 今日の最高気温は36度。放課後の今、この時間帯がそれに当たるはずだから。


 いや、それにしても。


「……」


 チラッ。


 私のすぐ横を歩く阿澄ちゃんに視線を向けると、すぐにその異変に気がついた。


 透けてる。


 阿澄ちゃんの身体から分泌された汗がシャツに染み渡って、薄い布地がいやらしく阿澄ちゃんに纏わり付いているのだ。


 少しだけ歩く足を早めて、私は阿澄ちゃんの正面を確認する。


 それは、ほとんど自然なことだった。


「……っ」


 やっぱり。


 扇情的な下着が––––阿澄ちゃんのブラジャーが、くっきりとその形を浮かべている。


 それに気がついた時、私の視線は阿澄ちゃんの膨らみの上から動かなくなってしまった。


「夏って、なんでこんなに暑いの……?」


 それは分からないけど、阿澄ちゃんの下着が可愛いのは分かった。

 

 今日は、水色だろうか。


 小さな花柄のレースが所狭しとあしらわれていて、阿澄ちゃんの可憐さを引き立たせている。


 阿澄ちゃんが足を前に進める度、繊細な布地が上下に揺れるのだ。

 阿澄ちゃんのおっぱいを、えっちなブラジャーがしっかり守っているんだと思うと、何だかクるものがある。


「どーこ見てるの?」


「っ」


 突如、阿澄ちゃんの顔が私の視界を覆うように差し込まれた。


 しまった。見すぎたか。


 いやでも、見ないなんて勿体無い。


 そう結論づけた私は、前屈みになった阿澄ちゃんの身体から視線を外すことができなかった。


「……そんなに、透けてるのが気になる?」


「だって阿澄ちゃん、凄く色っぽいから……」

 

 正直に答えると、阿澄ちゃんは小さく息を漏らした。


 それが、やっぱり色っぽくて。私は欲を隠すこともなく、見つめてしまった。


「わっ」


 だからだろうか。


 えっちなことばかりを考えてしまう私の頭は、阿澄ちゃんに優しく引き寄せられた。


「んむっ」


 後頭部に添えられた阿澄ちゃんの腕が、私を豊満な胸へと押し込む。


 柔らかっ……!? てか、匂い……!


 ふにゃりとした肉感は最高に気持ちよくて、何より汗の匂いが脳を刺激する。


「素直でかーわいい♡」


 終いには、心のずっと奥をぐりぐりされるような声音で囁かれる。

 シチュエーションのえっち加減に、夏の暑さも吹っ飛びそうだ。


 けれどそれは一瞬のことで、私はすぐに阿澄ちゃんの胸から解放されてしまった。


「––––っ。……素直に言えば、要求に応えてくれるの?」


 素直で可愛い。


 そう言われたからには、もっともっと阿澄ちゃんを求めたっていいはずだ。


「どうして欲しいの?」


 阿澄ちゃんは、否定も肯定もしない。


 でもその瞳は優しく緩められていて、私が求めればどこまでも応えてくれるような期待があった。


「……もっとちゃんと、阿澄ちゃんのこと見たい」


「もう一声っ」


 可愛らしく指先なんか立てちゃって、阿澄ちゃんは本当に意地悪だ。


 私の頭がえっちなことになっているのを良いことに、必要以上の言葉を私から引き出そうとしている。


 でもだからって、変なプライドでこの機会を逃すなんてもっての外だ。


 私は意を決して、その願いを口にする。


「…………阿澄ちゃんの、透けてるえっちな下着が見たい、です」


 いざ言葉にすると、それは想像以上に恥ずかしかった。


 かーっ、と顔が熱くなって、やがて熱は身体の全てを蝕んでいく。

 心臓はとくとくと忙しなく血液を送り、私の感情は柄にもなく落ち着きを失っていった。


「よくできましたー」


 阿澄ちゃんは、パチパチと手を叩くと、前を向いて歩き出した。


 まさか。


 私は慌てて後を追った。


「え!? だ、だめなの……?」


「あはは、冗談だよ」


 なんだ、冗談か。


 びっくりした。


 面白半分で"待て"をさせられるワンコの気持ちが分かった気がする。


「そんなに言われたら、応えてあげたくなっちゃうな」


 艶かしく息を漏らすと、阿澄ちゃんは扇情的な身体を僅かに動かした。


 私が見やすいように、ほんの少しだけ前屈みになって、自慢の身体を濡れたシャツ越しに晒してくれる。


 えっち過ぎる。


 見えそうなのに見えなくて、見たいのに全部は見たくない。


 複雑な感情が入り乱れる中、うっすら浮かび上がる色気に満ちたブラジャーは、私の欲求を確かに満たしてくれる。


「泉、すっごくいやらしい目してる」


「も、もうやめて……」


 そんな風に言わないで欲しい。


 確かに私は阿澄ちゃんにえっちなことを求めているし、何を言われても反論なんてできないけど。


 でもだからこそ、これは仕方のないことだ。


 私は、阿澄ちゃんの全部が好きだから。こういう変な求め方だって、してしまう時がある。


「……ほらっ」


 視界の真ん中で、頼りない水色の生地が小さく跳ねた。


 正確には、薄い布地に包まれた阿澄ちゃんのおっぱいが、上下に揺れた。


 ばるんばるん、といやらしい擬音が聞こえた気がして、私の心臓はどくどくと脈を打ち始めた。


 想像はできても、普段なら決して見ることはできないブラジャーの挙動。


 阿澄ちゃんのおっぱいに吸い付く花柄のレース模様は、鮮明な形を残して私にそれを伝えてくれる。


 なに、これ……。


 こんな風に、阿澄ちゃんのおっぱいは動いていたの……?

 

 興奮が、心臓を飛び出て何処かに行ってしまいそうだった。


「んふふー。暑いのも、案外悪く無いね? 泉の可愛いところが見られるしさっ」


 なんて笑いながら、阿澄ちゃんは水を得た魚のように胸の膨らみを動かす。

 その度にブラジャーが扇情的な影を残し、私の理性にヒビを入れていく。


 今、阿澄ちゃんのおっぱいはどうなっているのだろう。


 こんなにシャツが濡れて下着が透けているくらいだから、きっと大量の汗を付着させているに違いない。

 

 さっき少しだけ感じた汗の匂いは、脳をぴりぴりと焼かれるような刺激があった。

 なら、阿澄ちゃんの敏感なところは、どれだけの匂いを溜め込んでいるのか。


 気になる。


 阿澄ちゃんのいやらしい匂いを知って、思う存分それを味わいたい。


 でもそれは、見ているだけで得られるものじゃない。

 

 私は揺れる膨らみから顔を上げて、暑さでとろんとしている阿澄ちゃんの瞳を見つめ返した。


「……嗅いでもいい?」


「……………………へ?」


 それは、未だかつて無いくらいに間の抜けた、阿澄ちゃんの飾らない声音だった。

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