第3話 頭のいい奴の罵倒は…くるっ!

「Just a moment, please!!」

「い…イエ…す?」


いきなり飛び出した凄まじく流暢なネイティブとともに一月むつきの左手がす〜っと俺の眼の前に突き出されて…右手の運動タオルが一月むつきの美しい顔を隠して…そして数秒後…


「…おとうさまっ!…お仕事お疲れさまですわ。今日もお忙しいハズのおとうさまのお迎え…わたくし嬉しくて嬉しくて!」

「…」


そこに現れたのは、いつもの輝くような無邪気な一月むつきの笑顔…胡散臭さもここまで来るといっそ清々しい?…むつき…あの凄まじい鬼の顔はどこに行ったんだよ!?


早見はやみ 三月みつきメモ】

早見 一月むつき…うちの双子の片割れで神奈川県の私立聖廉学園高等部一年生。こいつも高校は我が母校に行くのかと思いきやいつの間にか全国でも超弩級の文武両道校に入学しやがった…以来テストの成績が学年三番以内から落ちたことがなく、それでいて超強豪バスケ部にて一年生ながら不動のポイントガードを務める…その上『学園一の美少女』って天は何物をこいつに与え給うたのか…ただ…天もさすがにそれ以上は与えなかったみたいで色々ポンコツだったり性格ウラオモテに難があったり…

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818792435385391275

妹の八月はづきが比較的何でもそつなくこなすタイプのハイスペックなら、こいつは出来ることは凄まじく出来るけど出来ないこととの差異が大きなタイプのハイスペック美少女と言えるだろう。


「(こいつだけは…絶対に怒らせてはいけない!)」


普段はおしとやかに見えるけど、これだけは八月はづきとの間でも意見が一致しているわけで…

…こいつこそ切実に…さっさとファザコン止めて彼氏を作って欲しい…



「み…見ましたの?わたくしが告白を受けるところ…」

「い…いや…俺が近づいたときには終わっていたみたいで」

「そう!…それは良かった…」

「身体のでっかい大男が小学生みたいに号泣して飛び出して来たけどな」

「…」

「…その後、野次馬みたいな連中がなんか言ってたんだよ、氷姫やら心を折るプロフェッショナルとか」

「…なるほど、全員「敵」認定ですね」


待て待て!お前の「敵」認定はヤバイ!

ホント手加減とか容赦とか…何処かに捨ててきちゃってるんだから…


「…そ…それよりも参考までに教えてくれよ。いったい何を伝えれば大の男をあそこまで号泣させられるんだ?」

「…別に…普通にわたくしの意見をお伝えしただけですわ…お恥ずかしい」

「そこを詳しく教えて欲しいんだよね…実は今度…部長にお見合いをセッティングされそうなんだよ」

「…は?」

「いざそうなっちゃったら、会うのは避けられないにせよ何としても向こうから断って貰わなくっちゃならないから…って…待て待て待て待て!…お…お前は!瞳を単一色真っ黒にするの禁止!!」


こ…こええ…こいつの無表情…ほんとにコエエんだよ。

さっきの鬼の顔のほうが…まだましだっ!

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818792435608314872



「…な…なるほど…仕事で仕方なく組まれそうなお見合いを蹴るための算段なのですね…であればご協力しないわけにはいきませんわね」

「そうなんだよ…だから参考までにお前がどうやって告白を断っているかを知りたい…なんでそんな苦しそうな顔…」

「…む」

「…む?」

「無理ですわ!そんなこと…愛するおとうさまを前に…言えるわけありませんわっ!」


…うん…この娘もほんと香ばしいくらいファザコン…


「はあ…はあ」

「…分かった。じゃあ俺は後ろを向いている。お前は目を瞑って…さっきの男のことを思い浮かべてくれれば」

「…な…なるほど…それならなんとか」

「頼むよ…俺を助けると思って」


俺は後ろを向いた…さあ来い!


「で…では…いきますわ!この…痴れ者っ!……!……!!………!!?…………………………………………………………………………………」


その後、メンタルを破壊された俺は…脆くも地面にめり込むが如く倒れ込み…『おとうさま…おとうさま!?…お願いです、どうかしっかりなさって!』と一月むつきが俺を抱え込むように抱きついていた。


…頭のいい奴の罵倒はコワイ…流れるが如く人格を根こそぎ引っこ抜いてくるようなそんな恐るべき罵倒の数々は…来たるべきお見合いには全く参考にならなかった。


ーPSー(むつきの婚約者って?)


「ところでむつき…さっきの野次馬どもが話していたお前が『身も心も捧げた』っていう婚約者って」

「いやですわおとうさま。そんな輩がいないことはおとうさまが一番ご存じでしょうに…あれはお断りの際に使っているテンプレートですわ。おとうさまもお見合いの際にお使いいただければ」

「…お見合いの席で『私には身も心も捧げた婚約者がいる』とか言ったら社会人として終了するわ!」

「あら…残念…なんでしたらわたくしが身代わりで婚約者のふりをしても…」

「いらんわっ!」


うん…八月はづきと違って普段ほとんどスッピンの一月むつきがほんの少し化粧をしただけで、年齢不詳の美女に化けるのは知っているけどさ。


「まあわたくしも、『身も心も捧げた』婚約者と言うからには心に思い描く殿方も…お聞きになりたいですか?」

「うん…何故だろう…全く聞きたくないや」

「まあ!おとうさま…ご嫉妬?」


違う…『これ以上この話を続けてはいけない』と…俺のゴーストが囁くんだっ!


「何もご嫉妬など必要ありませんのよ?わたくしが身も心も捧げているのは…ぶぶっ!…ひ…酷いですわおとうさま!何故タオルでわたくしの顔を覆うのですか!」


うん…『これ以上この話は絶対に続けてはいけない!!』と…俺のゴーストが絶叫しているんだっ!!


「うん!夜も更けてきた…さあむつきも早く着替えておいでっ…バイトのはづきを迎えに行こう!」

「む〜っ、おとうさまの…意気地なしっ!あの日の夜…おとうさまはあんなに激しくっ!」

「やめんかっ!」


おっとここまで!カクヨムはR15だっ!!

これ以上は黙れむつきっ!





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