アプリで未来予知したら、なぜかハーレムフラグだらけだった件
ネコ
第1話
俺はごく普通の高校二年生だ。
地味で目立たないが、平和に暮らしていた……はずだった。
ところが今、目の前で幼なじみの七瀬 玲奈が放った爆弾発言に、脳みそが一瞬停止しかけている。
「彼氏ができたんだ」
そう言った玲奈は、肩にかかる茶色の髪をツーサイドアップにまとめていて、いつも通り可愛い。
可愛い……っていうか、そんなことより「彼氏」だと?
普段から明るく面倒見がいいけれど、恋愛となると不器用なはずの玲奈に彼氏……?
しかも突然の宣告に、まるで心臓を直撃されたみたいにドキドキしている。
「え? ま、マジか……」
俺は動揺で声が裏返りそうになるのを必死にこらえる。
正直、玲奈とは長い付き合いだし、恋愛感情なんてあんまり考えたことがなかった。
でもいざ「彼氏」なんて言葉を聞くと、すごくソワソワするのは何なんだろう。
「すごく優しい人でさ、他校の先輩なんだけど。今度一緒にご飯でも行こうって話してて……」
玲奈の楽しそうな声が胸にグサグサ刺さる。
幼なじみとして祝福してあげるべきなんだろうけど、何とも言えないモヤモヤ感がこみ上げる。
結局、気の利いた言葉も出てこず、ただぎこちなく「そっか。よかったな」と言うだけで精一杯だった。
玲奈は「うん……ありがと」と少し照れたように微笑む。
その笑顔がまた胸を締めつける。
夕方、ひとりで家に帰った俺はベッドに倒れ込み、さっきの光景を振り返った。
玲奈が……本当に彼氏……。
なんだろう、俺、ショック受けてるのか?
いやいや、俺はただの幼なじみじゃないか。
彼氏ができたって聞いてこんな落ち込む理由なんて……あれ? 本当にないのか?
そんなわけで一日中、頭がぐるぐる回転したまま、夜になっても落ち着かなかった。
気分転換にスマホをいじろうとしたとき、ふと違和感を覚える。
……こんなアプリ、入れた覚えないぞ。
画面に「未来視アプリ」という得体の知れないアイコンが鎮座している。
「なんだこれ」
思わず声に出してしまう。
タップしてみると、妙にレトロなインターフェイスが表示された。
説明も何もないが、メイン画面の中央に「明日の予知」という文字が見える。
半信半疑で指をスライドすると、そこに出てきたメッセージは俺をさらに困惑させた。
「玲奈は数日後に別れ、再び君へ想いを寄せる」
はあ? 何の冗談だよ。
玲奈が別れるって、告白されたばかりなんだろ?
しかも「再び君へ想いを寄せる」ってどういうことだ。
ただの不具合かイタズラか、そんな疑いが頭をよぎる。
でも、万が一当たったらどうなるんだろう……。
また玲奈は俺のところに戻ってくる?
いや、そんなのあり得ないだろう。
あいつはちゃんと好きで彼氏と付き合ったんだろうし……。
結局、どこか腑に落ちないまま夜が明け、翌日を迎えることになる。
朝、教室に入ると、いつものように親友の杉下 拓哉がニヤニヤしながらこっちを見ていた。
短い茶髪にサッカー部のジャージ姿がトレードマークの、いかにもスポーツ青年って感じのやつだ。
「おっはよ、悠斗。なんか悩んでる顔だな。幼なじみちゃんに何かあったとか?」
いきなり核心を突いてくるからビビる。
「べ、別に何も……」
と答えようとすると、拓哉はさらに顔を近づけてきた。
「隠してもムダムダ。玲奈が彼氏できたって話、もうそこそこ広まってるぞ。おまえ、ショック受けてんじゃない?」
ぐ……こいつ、どこまで分かってるんだ。
俺は結局、何も言い返せず「ま、まあな」と曖昧に笑うしかなかった。
玲奈に彼氏ができた――その事実は俺の心に大きな波紋を広げたままだ。
さらに謎のアプリが、彼女は別れるとか言ってるし。
頭の整理がつかないまま、俺の落ち着かない学園生活が始まってしまった。
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