白馬の王子様に告白された。街中で。
小春凪なな
憧れ夢見たシチュエーション
『告白』
それは人生においてする方もされる方も大きなイベントだろう。人によっては何十回とされたことはあるかもしれないが大抵は片手の数より多いか少ないか。ゼロな人も珍しくない。私だって・・・・いや、何でもない。
そして一大イベントであるからこそ、告白のシチュエーションについての憧れは千差万別だ。
例えば、小学校の友達は『白馬に乗った王子様が来て~。跪いて熱烈に告白されるの~!』と語っていたが、高校生になった現在は『遊園地でデートして、夕焼けの観覧車の1番上で告白されたい~!』と言っていた。
幼少期は夢見心地な展開だったのが大人になるにつれて現実的になっていったのがお分かり頂けただろうか。
まぁそれは当然のことで、夢は夢、現実は現実。交わることは無い。
それでも心の何処かで思っていないだろうか?
『あったらいいな』と。
小さい時に夢見た展開は早々捨てられない。捨てた気持ちになっていても心の何処かに残っているものだ。誰だって乙女。憧れは中々消せない。
現実的に考えるのならばわざわざ、白馬をレンタルして王子様っぽい服装をする必要がある上に見た目もある程度は良くないといけない。サラサラの金髪に目が覚めるような青い瞳、ではなくとも整った顔立ちでなければ、モデルのようでなくとも少しでも近くなければ、現実にやった時に憧れ夢見た想像の王子様を超えられないと思う。
・・・・・何でこんな事を考えているのかって?
「あぁ!なんて美しい人だ。どうか私と付き合ってくれませんか?」
今、電車で三駅の高校に行く為に家から数十分の駅へ歩いていた私の手を取って見惚れるような微笑みを携えて告白しているのは、白馬に跨がって現れた金髪碧眼の王子様だからだ。
いやいやいやいや!わからない!何で?ナンデェ!?
展開が不明なんだけど!?
昨日も普通に登校して、バイトに行って帰って夜ご飯のコロッケ食べてお風呂に入って勉強してちょっとゲームで夜更かしして眠って、朝バタバタしながら準備してまた登校している………何もおかしな事はなかった筈。
なのに何故こんな珍妙なイベントが起きているんだ。出来れば今からでも外野になって眺めたい。
告白してきた王子様はサラサラの金髪に目が覚めるような青い瞳。顔立ちも整っているし、颯爽と白馬から降りた時のスタイルも良かった。
外野であったならもっと心穏やかに眺められたのに。
「あの……」
「なんだい?愛しい人?」
「ッツ………!」
思いっきり私の瞳を見詰めて告白されたが、せめてもの抵抗として『人違いではないか?』と訊きたかったが『愛しい人』発言と美しい顏をゆっくりと傾けた破壊力に気の弱い私の意志は折れる。
「………その、移動しませんか?」
「そうだね。君を見た瞬間衝動的に告白してしまったが人の往来がある所でする話ではなかったね」
それでもどうにか移動の提案ができたので色々な問題は落ち着いた私にお任せしよう。
憧れ夢見たシチュエーションなのに現実になるとこんなに頭が痛くなるのかと思いながら白馬を引き連れる王子様を連れて近くのファミレスへ向かった。
白馬の王子様に告白された。街中で。 小春凪なな @koharunagi72
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