第21話 進展

ダンジョンから帰ってきて、直ぐに寝たのだが。

起きると昼くらいの時間になっていた。


いろいろと気になることがあったのでスマホでニュースサイトとかを見ていたんだが。


「毛利の件、ニュースになったのか」


厳重に監視されていたはずの毛利だったが、映像つきで監視されていたようだ。

そんな毛利が突如魔法陣に包まれて消えていき、監視していた人たちがパニックになっている、といった内容の映像がネットに流されていた。

そして、毛利はそのまま行方不明という扱いになったみたいである。

帰ってきてない様子を見るにダンジョンで死んだのだろう。


「ま、誰がどこで死んでもどうでもいいけど」


次にネットの掲示板を見ることにした。

いつも見ている掲示板とは別のところ。

スレッドはもちろん、これらとダンジョンの話題一色だった。


【ダンジョン、やはり実在する模様】

【日本にラミア出現wwwwww】

【モンスター出現で日本終わる】


そういうタイトルのスレッドが乱立していた。

そしてどのスレッドも勢いがすごい。

更新する度にレス数がどんどんと増えていっていく。

もちろん、まとめサイトなんかもこぞってこの案件を取り上げていた。

日本中がいまやダンジョンに注目しているようだった。


(毛利の件で急速にダンジョンが広まったか)


なにはともあれ、これにて俺の当初の目的。

ダンジョンの存在をある程度広めるという目的は達成できたことになる。(少し広まりすぎたが、それはそれというやつ)


そのときだった。

ブーっとスマホが震えた。


なにかの通知が届いていた。

目を向けてみる。


【これはあなただけに送信しています】

【ベータテスト終了の目処がたちました】

【なお、ベータ版での成長度は本実装版へ引き継ぎ可能です】


(ベータテスト、そういえば。最初に獲得した称号、ベータテストがなんとかってものがあったよな)


「つーか、今までやってたのがベータテストなわけ?」


本実装版ってのはなんだ?

どうなるんだ?

っていうか、なんで俺だけに送信?この言葉は本当のことか?


いろいろ考えることはあったけど。

現時点では情報が無さすぎるな。


「今はやれることをやるしかないよな」


さぁ、今日も仕事でもやるか。


今日は平日。

涼香ちゃんは学校に向かっていて話しかけてくる人物もいなかったので、スマートに仕事が進んで行った。


「おはようございます。佐々木さん、今日もありがとうございます」


「ふぇっ?!(びくっ!)」


話しかけられると思っていなかったので、突然の声に驚いた。


「あー、氷堂さんですか。おはようございます」


「そう畏まないでください。いまお時間大丈夫ですか?」


(長くなりそうか)


返事を返すと、氷堂さんは俺を応接間へと案内した。

お互いソファに座りローテーブルを挟んで向かい合う。


「最近ダンジョンがどうとかモンスターがどうとか、世間が騒いでおりますな」


「そうですね(世間が騒ぐってことはとうぜんこの人も把握するってことか)」


「佐々木さん。単刀直入に聞きたいのですが、あなたはこの騒動に関わっていますか?なにも言いませんので素直に答えて欲しいのです」


首を縦に振る。

世話になっている以上不義理はしたくない。

なにより俺の直感が告げてる。


(この人は信頼してもいいだろう)


そして、理屈的な話をするならば。この人を完全に仲間に引き込めればこれ以上ない味方になるはずだ。

そして、出汁に使うようで悪いが、こちらには涼香ちゃんという切り札もある。仲間にしない選択肢はない。


「なるほど。ひょっとして涼香も?」


頷く。


「把握しました。あの子のあなたへの信頼はなにかを共に乗り越えた証でしょうし。そういうことだったのですね」


氷堂さんは立ち上がると、横にずれて床に膝をつけた。

そして、すっと頭を下げる。

額を床に着けたのだ。


「涼香をお願いします。佐々木さん」


「もちろん。分かっていますよ」


この人にも釘を刺しておこう。


「そのためにはあなたの協力も不可欠です。このことは他言無用、オフレコでお願いします。涼香ちゃんを守るためでもあります」


「分かりました」


ソファに座り直した氷堂さん。


「ところで佐々木さん。あなたはレガシィという人物で間違いないですか?」


「ネットではそう名乗っています」


「なるほど」


氷堂さんは上半身だけソファの後ろに回して、俺に背中を向けた。

ゴソゴソとソファの後ろを漁っているようだった。


(なにかあるのか?)


真面目な顔をしていると、氷堂さんは先端が尖ったものと四角い板を取りだしてきた。


「これは?ダンジョン攻略でなにか有利になるものですか?」


「サインをください!レガシィさん!」


(はっ?!)


「実はあなたのファンだったのです!」


子供のような無邪気な笑顔を浮かべる氷堂さんだった。


氷堂さんと別れ休憩に入る。

ちなみに昼に取る休憩とは別の個人的な休憩である(いくら取っても何も言われない)


(そういえば先日は生き残りメンバーを確認するのを忘れてたな)


というわけで天罪あたりがネットに書いてくれてないかなー?と見に行ったんだけど。


書いてあった。


「7/55、か」


ペナルティ中の通知民の扱いがどうなっているのかは分からないけど。あいつが生きている扱いなら今回はふたり生存者が増えたってことか。


いや、出現したラミアの数も見ればだいたいのことは分かるか。


そう思いラミアの数を調べたら。


「今日は7匹、ってことは俺と天罪以外にも完全に新規でひとり生き延びたやつがいるってことか?」


ふーん。なかなやるじゃん。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る