第14話 流れが変わるかも

「あの、これ落としましたよ」


涼香は俺と毛利の関係性を知ってる。

あんまり長居はしたくないことを察してくれたんだろう。

さっそく本題に入っていた。


「あっ、ど、どうも」


涼香はハンカチを渡す。


「さ、渡したし帰りましょう佐々木さん」


俺たちが出ていく直前、蘭華は毛利に向き直る。


「さっきも言ったけど、こう言う通知が来てるんですよ」


話を聞く限り蘭華は既に話をしていたようだった。


「それで?」


しかし、毛利はこのざまである。

どうやら俺にだけ適当に接してたわけじゃないらしい。


「今ネットで噂になってるんですよ。この通知が来たらダンジョンに飛ばされるって。だからその保護とかして欲しくて」

「あんたねぇ、そんな都市伝説みたいなこと信じるの?もう大人でしょ?子供だましの噂だよ」

「だ、だって、今まで何人も行方不明に」

「あんたさぁ、日本で毎日何人行方不明者いると思ってんの?その数が多少増えたところで誤差なの。ダンジョンとか無関係だしそんなものは存在しないから」


俺はサングラスの女に声をかけることにした。


「やめときなよ。その警官はこっちが何言っても聞く耳持たないから」

「あなたは?」


肩をすくめてみる。


「同じ被害者だよ」


こんな話をしている今も毛利は知らん顔である。


「代わりに俺で良ければ話聞くけど?」


少しだけ悩んでいたようだったが。


「ごめんなさい。気持ちはありがたいけど個人に話したところでどうにもならないと思うから」


と、俺たちの横を通って警察署を出ていった。

俺もこれ以上不快な思いをする前に警察署を出ることにした。


ちなみに蘭華は既にどこかに行っていたが……。


「蘭華ちゃん大丈夫でしょうか?私たちと同じところに来れるといいんですけど」


そのセリフはもう勝ち確にしか思えなかった。


「来るんじゃない?」



そして、迎える0時。

俺たちの近くに蘭華が寝転がっていた。

ちなみに前回にいた男の新人はやはりいないようである。死んだのだろうか?


「ほんとうに来ましたね蘭華ちゃん。どうして分かったんですか?佐々木しゃん」

「君が豪運だからとしか言えないかも」


「ん……」


起きてきた蘭華。


金髪ツインテールの女の子である。


「ちょ、ここダンジョン?」


「そうだよ」


「って、あなた昼間の?!横にいる女の子はハンカチの……」


蘭華が状況を理解したところで切り出してきた。

ちなみにお目目はキラキラしていた。


「ひょっとして、あなたがレガシィさん?」


「ネットではそう名乗ってる」


「ほんとにいたんだ!レガシィさん!このダンジョン皆勤の人だよね?!うわ、勝ち確だよねこれ!ここのこと教えてくれない?」


「俺達も詳しいわけじゃない。最低限でいい?」


もう既に手馴れた説明を行う。


「あの箱でいろいろ出来るんだね、ちょっとやってみる」


「手続きが終わったら教えて欲しい」


「終わったよ。ステータスはこれ」


蘭華のステータスを見て見た。


まぁ、高くもなく低くもなく、普通といったところだった。


「レガシィさん、私ワクワクしてるよ」


「なんで?」


「レガシィさんの戦いっぷり見てみたかったんだよね」


「別に面白いものじゃないと思うけど」


「え、でも気になるよー。これから先レガシィさんは伝説になる予感がしてるし、初期のファンになれるなんて私ちょーうれしいかも!」


蘭華は俺の事をまとめサイトで知ったらしいが、かなり熱狂的だな。


「あ、あのさ。君のことなんて呼べばいいのか分かんないけど」


「うん!蘭華でいいよ」


「あーじゃあ蘭華ちゃんで」


「あはぁ……//////あの伝説のレガシィさんに名前呼ばれちゃったよォ……//////」


ひとりでもぞもぞしているけど、話を進めよう。


「モンスター討伐を進めたいんだよね」


「え?」


「倒さないとここから帰れないし話が進まないからさ。」


「そうだったね。でここにいるとたしか、死んじゃうんだっけ?」


「たぶんね。俺も実際に確認した訳じゃないけど。ろくな事にはならない」


「うん、大丈夫。レガシィさんがいるならモンスターくらいいけるよ」


「分かった。じゃあ、心の準備ができたら教えて、扉を開けるからさ。開けるともうここには戻れない。しっかり準備をして欲しい」


「そういうことならちょっと最後に確認するね」


そう言って靴紐のチェックとかを始めた蘭華。

俺は俺で例の箱に手を伸ばすことにした。

証明書を読み取らせると俺専用のアイテムボックスが開いたが


(武器とかはやはりなしか)


相変わらず中身はすっからかんである。


(武器は一生変えられないとか、そういう縛りでもあるのだろうか?)


だとしたら、困るんだけどなぁ。この武器絶対弱いだろうし。戦いもきつくなるだろう。


まぁ、無いものをねだっても仕方ない。

今は進めるところまで進んでみよう。


「終わったよレガシィさん。早く私に伝説を見せて!ファンとして最前列でこの眼にあなたを焼き付けるから!」


(それにしても変なファンが出来てしまったな)


でも、アイドルか。

この子が巻き込まれたのであればダンジョンの話は爆速的に世間に広まるかもしれないな。そして世間の流れが変わる。


この後に毛利がどんな顔をするのか今から楽しみだ。

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