第11話
例のファミレスで俺はスマホを取りだした。
まず最初にやることがある。
例のスレッドに書き込んだ。
内容は簡潔にこうだ。
【夜明けはワイバーン多分8匹。一匹は多分通知民がやってくれたGJ(グッジョブ)】
何人かのレスが俺に着くのを確認してからスレッドを見るのは辞める。
次に例のダンジョンアプリを開く。
すると、【ステータス】のタブにNEWの表示が増えてる。
ステータスを開いてみると新たな項目が追加されてる。
「ステータスポイントが解放?」
「どしたんですか?」
「コレ見て」
「どれどれ、ステータスポイント……」
涼香は俺と向かい合って座ってたんだけど、見やすいようにわざわざ隣に移動してきた。
「どうやらこれを振り分けてステータスを強化することが出来るらしい」
「でもこのポイントはどうやって溜めるんでしょう?佐々木さんは今いくら溜まってますか?」
「俺は6000溜まってる。涼香ちゃんは?」
「えーっと私は2000ですね。こういうの溜まってたの知ってましたか?6000って凄くないですか?」
「いや、まったく知らなかった。今回初めて知ったな」
とりあえず考える。ポイントの付与条件とかを。
涼香ちゃんがダンジョンに向かったのは2回。それで2000ってことは、1回あたり1000貰えるってことか?
でもそれだと俺は3回だから計算上は3000のはずだけど、現実は倍ある。となると他にも要因があるはずだ。じゃあ何がこの差を生んでる?となる。
そうだな、決定的に俺と涼香ちゃんとで違うことがあるとすれば。
「ラスキルの有無……か?」
「ラスキル?」
不思議そうな顔をしている。
俺の方は、というと。この瞬間俺の中で決めたことがある。
「涼香ちゃん、よく聞いて欲しい。俺はもうあの世界のことを細かく他人に言いふらすのはやめるよ」
「どうしてですか?」
「君を守るためでもある」
「(きゅん♡)」
「今のところ俺は恵まれてるよ。涼香ちゃんはいい子だしさっきの新入りはやる気ないだけだった。でもこれからは違うかもしれない」
「と言いますと?」
「悪いやつが新入り枠で来る可能性がある。あの世界の細かい仕様が知られていればそいつが好き勝手にする可能性がある。例えば利益目当てに君を殺したり、俺を殺したり」
「ゴクリ……」
「俺は君以外信じない。だから君もそうしてくれると助かる」
俺は聖人じゃない。
皆で仲良くお手手繋いで生き残りましょうなんて考えてない。
俺と身の回りの人間だけが生き残ってるなら極論はそれでいい。
もちろん、美味い情報は自分たちだけのもの。
「は、はい」
「言いたいことはこれだけ。じゃ、ステータスの振り分けやってみようか。でも慎重にね、やり直せない可能性もあるし。こういうのって基本やり直せないしね」
「分かりました」
(さて、俺の方は前々から溜まってる宝箱の開封でも先にやるか)
オーガとワイバーンの宝箱をまだ開けていない。
そのため、こいつらの開封からやろう。
【オーガの証】と【ワイバーンの証】を入手しました。
(宝箱を開けた時ステータスポイントの入手は?増減なしか。OK。とりあえず2つの装備品を装備しよう)
【探索者証明書】
名前:佐々木 健吾
年齢:35
筋力:E
耐久:E
器用さ:E
敏捷:D
知力:E
魔力:E
運:E
↓
【探索者証明書】
名前:佐々木 健吾
年齢:35
筋力:D
耐久:E
器用さ:E
敏捷:D
知力:D
魔力:E
運:E
(オーガの証が筋力、そしてワイバーンの証が知力だから装備品に関してはこれで問題ないか。さて、問題はここから。ゲームだとステータスは特化型が強いと思うが……)
【ステータス強化に必要なポイント量】
E→D 2000ポイント
D→C 6000ポイント
C→B 20000ポイント
B→A 50000ポイント
A→S 200000ポイント
(んぐ、まじか)
ここは現実である。果たしてゲーム通りでいいのかどうか。バランス型の方がいいんじゃ……。
(いや、待て。セーフルームにある椅子の数は8だ)
あれを見る限りこれからどんどんダンジョン攻略メンバーの人数は増えていくはず。
そして、より強い敵が出てくると思う。
そうなった時、バランス型だと結局微妙だろう。
だって8人で役割分担すればいいんだから。
「佐々木さん、どうやって振ればいいんでしょう?失敗したらと思うと、まだ思い切りがつかなくて」
「特化型でいい。君なら魔力に振ればいい」
魔力は魔法の威力が上がるステータス、知力は魔力の量が増えるステータスと説明があった。できればこのふたつを上げられるのが最強だろうが。
現状どちらかしか選べないのであれば
「魔力でいい。どのみち俺達には持久力がないと思うから初撃で決めに行くしかない。でもこれが正解かは分からない。だから最後は君に任せる」
「私はあなたを信じます佐々木さん(全振り)」
俺はどうするか。
もう少し待ってみてもいいか?
(失敗したら死……いや。どうでもいいか、そんなこと)
「俺は筋力に全振りするよ涼香ちゃん(脳筋)」
だめだだめだ。
なんで奥手になってんだ、俺。
前に言ったじゃないか。
「やりたいことやって死んだらそこまでだって」
俺はこの死合を楽しみたい。
モンスター共と生死をかけたバトルを。
自分の死すらどうでもいい。
ただ、殴り合いたい。
目の前にいるモンスターをぶっ殺したいだけなんだ。
そのために必要なものはなんだ?
簡単だ。圧倒的な力、筋力、パワー。
「俺はもう逃げない。生きたいだなんて腑抜けたことを言わない(全振り)」
【筋力D→筋力C】
そうだ。四の五の言わずにぶつかって死ねばいい。初めから生存本能ぶっ壊れてるんだからさ。
防御など不要。攻撃こそが最大の防御。
そうだ、攻撃力を上げればすべてが解決する。至極単純なことじゃないか。
涼香ちゃんは笑顔を浮かべた。
「その思い切りの良さ。バトルジャンキー具合。それでこそ佐々木さんですよね」
そして、いつの間にか夜が更けていた。
窓から差し込む日差し。
それは俺たちの選択が正しいと言ってくれているくらい気持ちがいいものだった。
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