第10話

セーフルームに氷堂さんがいた。


「佐々木さん今夜もよろしくです」

「そうだね」


なんて会話してた時だった。


俺たちの横にもうひとり人が倒れてることに気付いた。


「この人新しい人なんですかね?男の人?」

「だろうね。今までの傾向で言えば生き残りは続投。そして、それに加わるように新メンバーがくる。俺の後に氷堂さんが来たみたいに」

「涼香って呼んでくれませんか?」


たしかに、そうだな。

氷堂パパのことを氷堂さんって呼んでるし。


「分かった。じゃあ涼香ちゃんって呼ぶよ」


「ちゃん付けいりませんよ?」


とか喋ってたら


「いづづ……」


新入りが起きてきた。


「あれ?どこ、ここ?」


俺たちが目に入っていないのか、独り言みたいだった。


「ここはセーフルーム」


「セーフ、ルーム……?」


(セーフルームが分からないなら通知民ではないか)


手短に説明すると涼香と同じように初期の手続きをしてもらった。

ちなみに新入りのステータスは俺と同じような感じ。

基本的にここにくるのは運が低い人間が選ばれるらしい。


「えと、話聞く限りミスれば死んじゃうってこと?」


「そう」


「あぁぁぁぁ、まじ最悪だなぁぁぁ」


そう言うと新入りは俺の方を見てきて……


「おじさん、強いんだよね?」


「お、おじさん?(むっ)」


頬を膨らませる涼香だった。

涼香はなにか言いたげだったが、俺が新入りに答えた。


「別に強くないけど。だから協力してほしい」


「でも生き残りなんでしょ?ならさぁ。ちゃちゃっと討伐してきてよ、そのモンスターってやつ。俺ここで待ってるからさ」


「だがここにいたらどうなるか分からんよ?俺達もここで時間経過を待ったことは無い」


「大丈夫だって。誰かがクリアしたら自動で先に進めるようになってるでしょ(ケラケラケラ)。さいわい、ここはゲーム的世界みたいだし?ほら、狩りゲーだとキャンプで待っててもクリアになるじゃん?」


涼香がぐっと俺の袖を引っ張ってきた。


「置いていきませんか?こういう人は無理やり連れて行ってもやる気出してくれませんから(ボソボソ)むしろ足引っ張られるかも」


たしかに。それもそうかもな。


それに、少しゲスな考え方だけど。


(ここで時間経過を待った場合どうなるかの、サンプルがまだないし、丁度いい機会か)


「分かった。なら待ってるといいよ。俺も無理やり誘って君の命まで背負いたくないし」


「らっきー。じゃあ、よろしく頼むぜーおじさん。ってわけで、俺はぜってー行かねー」


俺と涼香はそのまま扉を開けて、エリア移動。その瞬間だった。


「はぁ?仲間が部屋を出ようとしています?同行しないんですか?だって?しないって言ってんジャーン」


新入りが箱に向かってそう言いながら選択肢をポチポチしてたのが見えた。


(一応、確認は出るんだな)


俺はそれを見たあとモンスターがセーフルームに入らないように念の為扉を閉めた。


そして、振り返る。

もうその時には扉は無くなっていた。


(ちゃんと確認したことなかったけど、扉はこのタイミングでもう消えるのか)


ところで、今回のモンスターは?


チラッと周りを見たが


「なんにもいない?」


「佐々木さん!上です!」


上?


「ワイバーン!」


「ギャァァァァァァ!!!」


こんなのまでいるのかよ。


「涼香ちゃん、一旦離れよう」


ワイバーンのキックが俺たちのいた場所に命中する。


体勢を立て直すと


「アイスバレット」


涼香の魔法がさっそくワイバーンに命中。


「佐々木さんトドメをお願いします。やっぱり私の魔法じゃ威力が低いみたいで」


「みたいだね」


前回も思ってたけどこの世界の魔法はそこまで強くないみたいだ。モンスターに攻撃を防がれたらその防御を貫通してダメージを与えるとか出来ないみたいだし。

弱っているワイバーンの背中側から近付いて


「トドメだ」


俺は相変わらず首を切り裂こうとした。

しかし……


(くっ!かってぇ、こいつの首。こんのぉ!)


今までスパッと切れてた弱点のはずが、すんなりと切れなかった。武器のせいなのか、ステータスのせいなのか。それは分からないけど。


「死ねぇ!」


何度目かの攻撃でやっと傷が入った。そして、絶命していく。


それにしても、もっとド派手で強い技とか使いたいけどこの貧相なナイフじゃこれが限界か。


(そろそろ武器について考えるべきか)


そういえば通知民は包丁を持ち込むことが出来たんだろうか?

持ち込むことが出来るのであればバットとか刀とか、無理だろうけど銃とかも持ち込めるかもしれないけど。


そうなれば心強いんだが。


「ところでどうですか?佐々木さん。私たちだけでやっぱり十分じゃないですか?」

「それはそうだけど、戦力は多ければ多いほどいいのもまた事実だけどね」

「そうですけど、あの人露骨にやる気なかったですからねー」

「まぁいいや。ドロップだけ回収して先に行こっか。新入りも待ってるかもだしね」


そうして、先のセーフルームへとたどり着いた。


生存者:4/32


「相変わらずのひどい生存率だな。もう見慣れたけどさ」

「でも前回より倍増えてますよ!倍!やったー!」


その後俺たちはしばらく新入りのことを待ってみたが……


「きませんねあの人」

「やっぱりあの部屋で待つのは悪手なのかもな」


俺は例の箱にカードをかざした。

【ユーザープロフィールを更新中】


【称号:三度の夜を超えてを解放しました。解放者1/32】

【称号:ワイバーン殺しを解放しました。解放者3/32】

【称号:武器が貧弱でも諦めるんじゃねぇが解放されました。解放者1/32】


【探索者証明書】

名前:佐々木 健吾

年齢:35

筋力:E

耐久:E

器用さ:E

敏捷:D

知力:E

魔力:E

運:E


相変わらず代わり映えしないステータスだったが……


【新機能:ステータス振り分けが解放されました。アプリにてご確認ください】


「佐々木さん驚いたような顔してどうかしたんですか?」


「あ、うん。とりあえず街に戻ってから話すよ。ここに長居したくないし」


「明日は土曜日で学校休みですし、これからでもいいですか?早く話が聞きたいのです」


「俺は明日から君の家で仕事だけど?徹夜しろと?」


「勤務中寝ててもらっていいのですよ?」


寝るだけで給料発生するってまじ?

何だこの仕事。簡単すぎだろ。


「なら、君の家まで迎えに行くよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る