第6話 二度目
結局23時まで氷堂とファミレスに居座った。
俺はドリンクバーだけで12時間近く居座る快挙をなしとげた。
全国探してもドリンクバーだけでこれだけ居座ったのは俺が初めてなんじゃね?そうじゃないかな?
「さてと、」
「佐々木さんどこへ?」
「今の時刻が50分。人目の少ないところに行こうかなと思って」
昨日と同じパターンなら0時ジャストに転移することになるはずだ。
転移方法が分からないが万が一爆発したりしたとき、損害賠償請求されても困る。
今の俺はおいそれと死ぬ気は無い。だから後先考えて行動するわけ。
「なるほど。それもそうですね」
というわけで、ファミレスの外へ出ようとしたのだが……
「氷堂さん?」
「私も行きます」
「着いてこられたら色々と困るんだけど?俺おっさん、君女子高生。連れ回してるって思われる」
「安心してください、その時は私が説明します。私が勝手にストーカーしてるだけですって。むしろ私が迷惑かけてます」
まぁそこまで言ってくれるなら。いいか?
ちなみに今の言葉は念の為録音した。俺はこう見えて用心深い男である。
まぁ、意味無いかもしれないけど。
移動しながら氷堂さんに声をかけた。
「向こうじゃ離れ離れになるかもしれない。でも気を強く持って欲しい」
「分かってますよ。言われれたとおりにやりますから」
「幸運を祈るよ」
そうして、人目の少ない場所で2人待機。
時刻は59分。
「3,2,1」
カウントダウン。
そして、0時になった瞬間、俺たちは2人この街から人知れず消えていった。
◇
2度目の転移のおかげか。
俺は意識が途切れたりすることもなく、ダンジョンのあの部屋にいた。
隣では氷堂さんが倒れている。
離れ離れになることはなかったようだ。とにかくそこは安心しよう。
どうやら俺の杞憂だったらしい。
「氷堂さん?」
声をかけてみると
「佐々木さん?」
起き上がってきた。
「ここがダンジョン?」
「と言っていいか分からないけど安心して欲しい。ここは多分安全な部屋だから」
俺の認識に間違いがないのであればこの部屋とモンスターがいる部屋の行き来は出来ないはずだ。
昨日ウルフを倒した後に探してみたがこの部屋に戻る扉はなかったし。おそらく一方通行。
「俺はこの部屋を【セーフルーム】と呼ぶことにする。名前ないままだと不便だろうし」
「セーフルームですか」
「とりあえず俺が教えたとおりにやってくれないか?登録とプロフィールの確認。焦らずにゆっくりしてくれていいよ」
「はい」
彼女に自分のことをやらしている間に俺は考えを整理してた。
(恐らくだがこういうダンジョンは複数存在してるはずだ)
俺たちが今いるダンジョンを【ダンジョン1】とするならば、恐らく1から10まで存在すると思う。もしくはそれ以上か。
昨日他の探索者に会えなかったのはそういうことだと思う。
俺と違うダンジョンにいたから、出会うことがなかったのだろう。
そして、彼らは全員死んで、俺だけが生き残った。
たぶんだけど、他の奴らはみんな生きたかったんだろうけど。
(皮肉なもんだな、一番死にたがってた俺が生き残るなんて)
でも、人生ってそんなもんだよな。物欲センサーはあると思う。
で、話は変わるけどさ。
「仕事やめようかな(ボソッ)」
「へ?」
氷堂さんが振り返ってきた。
「こうやってダンジョンに来る頻度がどれくらいか分からないけどさ。毎晩呼び出されるんじゃ体が持たない。だから仕事辞める」
でもどうやって食いつなごうかなっていう疑問も残るけど。
「うーん、考えてみればそれもそうですよね。毎晩呼び出されたなら大変ですよね。良ければですけど、しばらくは私の家で雇われませんか?」
「え?君の家で?」
「はい。月80出しますが、どうでしょうか?」
「80?!!!」
80ってなに?うめぇスティックが80本ってこと?
「それとも80銭?それじゃ生活できな「80万円ですよ。衣食住もつけましょうか?」
「ふぇっ?はちじゅうまん?!今の仕事の8倍なんですけど?!」
「私が見こんだ方であれば父上もうるさくは言ってこないと思います」
「ちちうえ?なんて上品な呼び方?」
「はい。自分で言うのもなんですが、私そこそこいい家に住んでるんですよ。ごめんなさい、自慢に聞こえちゃったりしたら」
「あ、いや、別にいいんだけど(そういえばこの子金を気にせずにファミレスでドカ食いしてたな)」
家が金持ちならそういうこともできるのか。
「いい家に産まれたんだね、羨ましいよ。俺はほら、あんまりよくなかったから」
「私も親には感謝してます。あ、ステータス出ました」
「見せて欲しい」
「こちらです」
【探索者証明書】
名前:氷堂 涼香
年齢:16
筋力:E
耐久:E
器用さ:E
敏捷:E
知力:E
魔力:E
運:SSSSSS
(運だけやべぇことになってる?!)
いや、そりゃまぁ。これだけ運がいいなら親ガチャも当たるよなー。親ガチャなんて単語ちょっと失礼かもしれないけど。
「箱にはなにか入ってた?」
「こんなのが入ってました」
彼女が取り出したのは杖だった。
ファンタジー風の魔法使いが持ってそうな杖。
両端には7色に輝く鉱石がついてる。
「名前は【大賢者の聖遺物】というみたいですが、強いんですかね?」
「どう見ても大当たりだと思いますネェ!!」
おい!神様?!
この子はこんなに強そうな武器持ってて、なんで俺にはナイフ1本しかくれねぇんだよ?!
不公平すぎんだろぉぉぉぉぉぉ!!!
(だがまぁ、逆に考えろ。こんなにいい武器持ってるなら今回は楽ができそうだな)
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