上洛を考えていた上杉も二の足を踏む事になった。

「元々、俺は上洛したいとは思ってないんだ…

 信玄がいない武田と戦っても面白くないし、地元を固める事に専念する!」

 上杉謙信うえすぎけんしんは専守防衛に徹する事にした。


 関東を制圧したら甲斐に攻め入るつもりだった北条も方針を変えざるを得なかった。

「織田が武田を潰したら、俺達は織田と戦う事になるのか?…

 止めだ、止めだ!武田の二の舞にはなりたくないからな」

 北条氏康ほうじょううじやすも甲斐進出を諦めた。



 ここで動いたのは徳川家康だ。

「よし、俺達は甲斐に侵攻するぞ!」

 騎馬軍団がなくなった武田軍は明らかに弱体化している。

 織田の援軍がなくても徳川の戦力だけで攻め込めると判断した。

「織田家の後ろ楯があるから北条もこっちに手は出せないし、攻めるなら今でしょ!」

 織田軍程ではないが鉄砲隊も組織した。

 本多忠勝や井伊直政など武闘派も揃っている。

「野郎共!今までの借りを倍返しだっ!」

「「おおぉぉぉ!!」」


 徳川軍は破竹の勢いで武田軍を撃破していった。

「くっ…、俺は親父の様にはなれないのか…」

 追い込まれた武田勝頼は自決し、風林火山の旗の下、日の本最強と云われた武田家は滅んだ。


 甲斐は徳川が制圧したが、武田が平定していた信濃は武田配下の真田家が独立し徳川の侵攻を退けた。

 真田幸隆は武田の中でも知略に優れた武将だ。

 その息子昌幸は知略にも武力にも長けていて、更にその息子達も優秀な武将となった。

「…さすがは知将と呼ばれる真田幸隆、このまま信濃侵攻するのはこちらが不利だ

 甲斐の武田残党を一掃するぞ!」

 家康は信濃を諦め、甲斐平定を果たした。 


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