第十一話 第六天魔王爆誕!

 武田信玄の死と勝頼の自決で武田家は完全に滅亡した。

 今まで日の本最強と云われていた武田軍を破った織田徳川連合軍が今や最強と噂され始めた。


 東の強豪大名達が上洛を見送る事に将軍義昭は慌てふためいた。

「も、毛利はどうした!?」

「申し上げます!

 毛利元就は高齢の為、上洛は出来ないとの書状が届きました」

 毛利元就はこの時にはすでに家督を孫(息子は急逝した)の輝元に譲って隠居していた。


「どいつもこいつも…、俺は将軍だぞ!」

「義昭様、ここはこの本願寺にお任せあれ…

 比叡山と協力して織田を叩き潰してみせます!」

「本当に大丈夫なのか?織田は鉄砲隊を組織したと聞いたぞ」

「例え織田が攻め込んで来ても、我が本願寺には雑賀さいが衆と根来ねごろ衆がついておりますので…」

 本願寺顕如ほんがんじけんにょは自信満々だ。


 雑賀衆とは雑賀孫一さいがまごいち率いる紀伊の鉄砲を主体とした傭兵集団である。

 根来衆は同じ紀伊の忍者集団で、元々は根来寺の僧兵でもあり本願寺の配下であった。

 紀伊には種子島から鉄砲を伝えた者がいて、雑賀衆や根来衆には鉄砲を使える者が多かった。


「一向一揆を指揮して、織田と徳川の領地を混乱させましょう」

「それは前にもやったがあまり効果はなかったではないか?」

 一向一揆は、一向宗の僧侶が指揮して農民、町民の不安を煽り起こさせていた。

「今まではただ騒ぎを起こさせただけですが、農民達に武器を配ればどうなりますかな?」

 顕如はニヤリと笑った。


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