第九話 浅井家と朝倉家

 武田信玄の軍は突如撤退し、織田と徳川は事なきを得た。


 しばらくは混乱していたが武田軍が動かないと分かりやっと落ち着いた。

「…なんだったんだ?あれは?

 信盛、何か情報はないのか?」

 武田軍に敗れた佐久間信盛は、引き上げていく武田軍を目の当たりにしていた。

「いえ…、いきなり回れ右して甲斐に戻ってしまいました」

 信長は集まった家臣達にも聞いたが…。

「道に迷ったとか?」

「まさか、殿に恐れをなした…とか?」

「もしかしたら、塩がなくなったのでは?」

 みんな憶測でしか話せなかった。


「殿、今のうちに我々も鉄砲を導入してはどうでしょう?」

 秀吉が提案した。

「う~ん、確かに欲しいんだけど高いんだよなぁ~

 なぁ、一益かずます…」

「そうなんですよ

 未だにほとんどが南蛮品ですからね…」

 滝川一益は新し物好きで、趣味で鉄砲を持っている。 

 当時、国内でも鉄砲を作り始めてはいたが大量には生産されていない。

 商人が南蛮から仕入れ、それを買わざるを得なかった。

「鉄砲を買う資金は今の織田家うちにはない!」

 信長は胸を張った。


「…しかしこの先、鉄砲は絶対必要だ

 誰か、何か案はないか?」

 手を上げたのは秀吉だ。

「私が安く買える様に商人と交渉します!」

「うむ、商人との交渉は猿に任せるとして、この近くで鉄砲作りを進めたいな」

 信長は鉄砲を生産を進める事で安く手に入ると考えていた。 

「殿、それなら長浜に鉄砲作りに興味がある鍛冶師がおります

 その者に依頼してはどうでしょう?」

 一益が提案した。

「よし、そっちは一益に頼む

 出来るだけ早く大量に生産出来るようにしてくれ…」

 信長は鉄砲を重要視した。


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