書状は秀吉が浅井家に届けた。
「羽柴殿、お役目ご苦労様です
書状は確かに受け取りました
返事は後程とお伝え下され」
長政は秀吉から書状を受け取り労を労った。
「なんだ?猿が来たのか?」
そこに市が顔を出す。
「お市様、相変わらずお美しいですな
…おや?ご懐妊ですか?」
市は妊娠していた。
「猿顔のお主には関係ない…
兄上から京の土産物が届いた
さっさと帰って、市が礼を言ってたと伝えよ!」
イケメン好きな市は秀吉にはまったく興味がなかった。
「はっ、必ず!」
浅井家でもかかあ天下のようだ。
秀吉が帰ると長政は書状前に唸っていた。
「う~~ん……、どうしよう」
市は長政の顔を覗き込む。
「どうされましたか?
そんなに眉間にシワをよせて…」
「この書状なんだけどな…
信長殿は、
しかも、朝倉と戦うつもりらしい…」
信長の代わりに帰蝶が書いた書状には、朝倉が美濃に攻め込むつもりでいるから同盟を破棄し一緒に戦ってくれと書かれていた。
「長政様、まさか兄上を裏切るおつもりですか?」
市が鋭い目付きで睨む。
「そんなに怖い顔するなよ…
俺だって信長殿とは上手くやっていきたいけど、朝倉家とは何代も前からの付き合いなんだから、俺一人の意見で簡単には破棄なんか出来ないよ」
長政は市のこともあり信長と敵対する気はなかったが、お家の為となると事情が変わる。
「…とりあえず、様子見としよう」
長政はどっち付かずでいた。
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