難しい顔をしている信長の隣にいた帰蝶が涼しい顔で言い放つ。

「信長様、簡単ではないですか?

 あの弟君を京から追い出して、あなた様が将軍になれば宜しいんですよ!」

「お前はまだそんな事を言ってるのか?

 俺は将軍なんか面倒臭くてやだよ」

 信長は首を横に振った。

「しかし、対策は考えないとな…

 猿!みんなを集めろ!」

 緊急会議を開く事にした。



 家臣達を集められ幕府対策を練った。


「おい光秀!あの弟、どうにかしろよ!?」

 京から呼び戻した光秀に八つ当たりをした。

「そう言われても……

 私だけじゃなく細川殿も義昭様に会えないんですよ…

 どうも周りの輩が義輝様の重臣や織田家の者を排除してるようなんです」

 光秀はただただ頭を下げるばかりだ。


「周りって誰がいるんだ?まさか三好達じゃないだろうな!」

「朝廷とも仲の良い比叡山の僧侶や本願寺家の連中ですよ

 彼らは我らの力を恐れて、義昭様に有ること無いことを吹き込んでいるのでしょう」

 当時の僧侶は政治に大きく関わり、朝廷や幕府に物申す事は日常茶飯事だった。

 元々は僧侶をしていた義昭が耳を傾けるのも仕方ない。

「比叡山の連中は分かるが、何で本願寺の連中までいるんだ?」

 今では西と東に分かれている本願寺家は、元々は僧兵を率いる大名でもあり、朝廷に影響力の強い比叡山とも仲良しだ。

「三好一派がいなくなったから、比叡山の連中が呼んだんですよ」

 光秀が首を横に振る。


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