第14話

陸くんと一緒に住み始めるよりも、更に2年半前。


丁度今から3年半前くらいに、私は当時お付き合いした海くんから、婚約破棄を言い渡された。



又従妹同士だった私と海くんは高校の終わり頃からお付き合いを初めて、3年目の記念日に私から逆プロポーズをした。


海くんはそれを了承してくれて、私達は1年後の4年記念日に結婚式を挙げる約束をした。



海くんは背が高くて、お洋服のセンスも素敵だったから、贔屓目に見ても凄く格好良かった。


私は、そんな格好いい海くんにもっと格好良くなってほしくって、海くんにいっぱいお洋服をプレゼントした。


でも海くんが好きなブランドの服は高価だったから、プレゼント代を稼ぐためにバイトばっかりしていたら大学の単位をいっぱい落としてしまって、怒ったパパとママからもう中退しなさいって言われたから、そうした。


それから海くんに会える時間以外は全部バイトをして、プレゼント代と、勝手に結婚資金も貯め始めた。



無理してるなんて1度も思わなかった。


たぶん、あの頃の私は相当みすぼらしかったと思う。



でも結婚式の準備だけは、すごくすごく胸が弾んだ。


たくさんドレスを試着して、私はプリンセスラインが可愛いハートカットビスチェタイプのドレスを選んだ。


数年間、自分のお洋服を買ってなかったけれど、そのドレスだけは正真正銘わたしだけのために選ばれたドレスだった。


最高に格好いい海くんの隣で、こんなに可愛いドレスを着れるなんて夢みたいだった。



でも、ある日突然、もう無理って言われた。


私は重いんだって。重すぎて、怖くなっちゃったんだって海くんは言ってた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る