りんごの花

ちえ

第1話 はじめに

映画「男はつらいよ」の台詞が、ふと頭の中を過る。


「伯父さん、人間ってさぁ、人間って何のために生きているのかなぁ」


「生まれてきて良かったと思う事が何べんかあるじゃない そのために生きているんじゃないか?」


両親が観ていた事もあり、私がこの言葉を知るきっかけとなった。


自然災害、コロナ、戦争、いじめ、

地球の中では苦しい事がたくさんあって、心もカラダも折れてしまう時や、涙が溢れてしまう事がいっぱいある。


中学時代、私はいじめに遭い、生きているのが苦しくなって、死を考えた時があった。

けれど今、生きていて良かったということがどういうことか、少し解る。

私が生きていけるのに、家族の存在も大きいけれど、その時支えになったのは音楽だった。

 当時は辛酸を嘗める思いをして、それは今でも忘れる事は出来ない。

しかし何十年経った今、仕事をしていて喜んでくれる人がいる。美味しいものを食べたり、美しい景色を見て感動する事が出来る。

お酒は飲めないけれど、ウイスキーのCMの男性の声に耳が喜んだり、

悪役で女方を演じる俳優に、胸がドキドキ出来る時、自分自身で人生にピリオドを打っていなくて良かったと心から思う。

 明治の終わりに生まれた祖母は、終戦後に起きた災害中に母を生みました。

 祖母は、災害、避難所の映像を視たりする時、当時の苦しくて辛い記憶が蘇ってくるそうでしたが、その中には、人々の支え合って進んだ姿も、私の想像だけれどあったと思う。

 昭和の終わりに私が生まれた時、祖母達はとても喜んでくれた。

母もきっとたくさんの人に支えてもらっている。

私自身もきっと。

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