始まり

第1話

ボロボロになった服を必死に手繰り寄せ、時に覚束ない脚を引きずりながら。




荒い息を整えることもなく、

ただひたすら走る。







今にも消えてしまいそうな声を上げながら、


私はひたすら暗い道を駆け抜けた。









「助けて……っ」






暗い路地を抜けて、一軒のバーに転がり込む。


カランコロン…と小気味よい音が耳に届くと、一気に膝から崩れ落ちた私。




ハァ、ハァ…と短い息を漏らして、その場に両手をついて









「……あ?」






……その声を、待っていた。

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