第10話
おそらく、とてつもなく下らない話に夢中なのだろう。
連中は私が歩いている姿を認識することもなく、気持ちの悪い笑い声で騒ぎ続けている。連中から遠ざかるようにして、いつもは通らない道を私は進み始めた。
これでもう連中に気づかれて絡まれるような最悪の事態は回避できたはずだ。
私は、これで大丈夫だという安心感に包まれると同時に、なぜわざわざ遠回りをして家に帰らなければいけないのかという疑問で頭がいっぱいになる。そして、いまだにこの暑さから解放される事がないという絶望から、なんとも言えない気持ちでいっぱいになった。
そんな私を太陽は相変わらず睨み続けてくれている。
「暑い」
ただひたすら、
ただ一言、
「暑い……」
今、私が置かれている状況はその一言に尽きる。普段よりも家が遠くなるという不幸な事態とこの暑さ。もう死んでしまいたいとさえ思った。
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