謎の二人2
襖を開いたそこに広がっていた光景は異様であった。
部屋の端で地面に頭を擦り付け土下座をする男。
制服姿でこちらに振り返る、肌が異様に白く、青い瞳を持つ美しい黒髪の少女。修はこの少女に対して、冷たそうな印象を受けた。
そんな中でも特に修が気にしていたのは、作務衣姿で、顎に髭を蓄えた威厳のある男。
修の叔父であり、師匠、そして身元引受人でもある
「お客さん。顔をあげて下さい。……修、お前はこちらへ座りなさい」
「……はい」
修は苦々しい表情を浮かべながらも臣一の横に腰を下ろす。
もちろんそこには座布団なんてないし、足が痺れる事は必須だ。
臣一が声をかけても男は顔を上げようとはしない。
何を思ったのか突如制服姿の少女が立ち上がり、ツカツカと男の方へ歩いていく。
そして、男の横に座ると、そのままペタンと体を折り、両手と頭を畳につけた。そう土下座だ。
二人並んでの土下座だ。
こんな光景、修は見たこともないし内心どうしていいものか、かなり動揺を覚えていた。
修が二人の姿をじっと見ていると、横から鋭い視線が飛んでくる。それは見るなの合図だった。
修はすぐにそのシグナルに気づいて目を伏せた。
「お客さん。どうして、うちで働きたいんですか?地元密着の小さな便利屋ですよ。もっと他に」
「他に行くあてがないからです」
「行くあてですか……この子とはどういうご関係で?兄妹には見えないようですが」
「この子は……」
男が返答しようと口を開くが、それを遮るように少女が口を開く。
「ホームぺージに載っていた求人は嘘だったんですか?住み込み可。この求人を見ている方、即採用って謳い文句」
その言葉を聞いた臣一の目の色が変わるのが手に取るように分かった。
「……君が見たのか?あのぺージを?」
「はい。私が見つけて、たーちゃんに教えました」
たーちゃんと呼称されたのは少女の横で土下座を続ける男なのだろう。何かこの二人、危ない臭いがする。
決して関わっては行けないような、そういう臭い。
しかし、臣一はそうは思っていないようで、会話のラリーを続ける。
「君達、名前を聞かせてもらってもいいかな?」
「私は
「み、深雪!?……なるほど。そういう事か」
臣一は、驚いたように声をあげ、一人でなにかを納得をするように頷いた。
「分かった。君達を採用するとしよう。部屋は一緒でも構わないのかな?」
喪芙はありがとうございますと歓喜の声を上げると同時に、さらに畳に頭を擦り付けた。
「いえ、絶対に別々でお願いしたいです」
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