第15話 涙

「ニイル!大丈夫か!!」


 倒れた気配でソライは焦って叫ぶが、ニイルからの返事はない。


 子供達も焦って口々に騒ぎ出す。


「ニイル大丈夫?」

「顔が青いよー。」

「死んじゃ嫌だ。」


 泣きだす子も出はじめた。

 今まで自分たちを励まし助けてくれたニイルが倒れたのだ。

 不安そうにお互い見つけあう。


 ソライは自身の不安を隠し、子供達に声をかけた。


「みんな、ニイルは休めば大丈夫だから!」


 目的の丘の上空に着いた。


 地上では先に到着していた子供達が上空に浮かぶソライ達へ手を振る姿が見えた。


 子供達はニイルを心配しつつも地上の仲間を見つけて気持ちが上がり始めた。


「あー下にロビンやケイン達がいるよー。」

「ホントだ、お~い、クララー。」


 下の子供達からも「やっと着いたね~」と声をかけられ、

 上空の全員が手を振って答えた。


 ソライは慎重に降下こうかし、球体を丘の上に降ろし消す。


 球体が消えたと同時に今降りてきた子と地上で待っていた子が入り乱れ、

 お互いの無事を喜びあった。


 地上に着いた子供同士の再会で先程までの重い雰囲気が

 一気に明るいものへと変わった。


 ソライは急ぎニイルの様子を見るが先程より顔色が悪く

 ただ事ではない事が見て取れた。

 

 「ニイルごめん・・・。」

 涙をこらえて絞り出す様に声を発した。


 ニイルを抱いて、柔らかそうな草の上に降ろすと心配そうな子供達が周りをとり囲む。


 ソライはニイルを抱きしめて「目を覚まして・・・。」

 思わずつぶやき、こらえ切れずに大泣きしてしまった。


 涙でぐちゃぐちゃになり視界もみえなくなりながら

 今度はソライからニイルにエネルギーを返す事を思いついた。



 突然、突風とっぷうが吹き抜け、ソライの肩に手がおかれた。


「男だけど泣くな。」


 ソライは慌てて声のする方を見るとスラっとした美しい男性が立っていた。


 すると近くで聞いていたダンが不思議そうに男性に尋ねる。


「男だから泣くなじゃないの?僕が泣くといつもママにそう言われるよ。」


 質問されたその男性は微笑みながら答える。


「ママは女性だから自分を基準にしているみたいだね。

 女性強くてたくましい。でも男は本当は弱くて泣き虫なんだよ。

 君だってホントは泣きたい時が一杯あるだろう。」


 ダンはちょっと考えてからうなずいた。


「うん、でも男の子は泣いちゃダメって言われるから俺泣かないよ。」


 子供の話に笑みを深め、美しい男性は答えた。


「僕も泣かないけどね、僕には美学があるから泣く時を選んでいる。」



 ソライは後ろで呑気のんきな会話をしている男性にたまらず催促をした。

 

「光の風、そんな事より早くニイルを助けて!」


 光の風(風の精霊)と呼ばれた男性は

「やれやれまだわかってないのかい。助ける必要はないよ。」

 とあきれた様に返事をする。


「見殺しにするっていうの? じゃあ俺のエネルギーを渡すからいいよ」


 ソライはむくれてニイルに向き直った。


 すると先程までの顔色の悪さが嘘の様に

 血色のいい顔色をして照れた様に起き上がってきた。


「ソライ、ありがとう。でも私はもう大丈夫。」


 ニイルははにかみながら続けた。


「不思議だけど大地に寝ていたら、元気になってきたの。

 大地からエネルギーが流れ込んできたみたい。」


 そう言って微笑むニイルにソライは驚いた顔をする。



「あんまり泣くから起き上がるきっかけがつかめなかっただけ」

 ソライの疑問に答える様に付け加えた。


 ソライは一人でやきもきしていたのだとわかり

 少し恥ずかしくなり、うつむいた。


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