第四条 コンプライアンス遵守

 そんなこんなで俺、蝸牛宗則かぎゅうむねのりのキャンパスライフと魔法少女ライフは始まってしまったのだった。


 俺は大学の講義が終わり暇だと日マに来るようになった。コーヒー紅茶が無料で飲み放題なので、課題をやるにも丁度いいのだ。怪しいセミナーかな?

 今日は社長が受付をしていた。京極さんは休みのようだ。どうでもいいけど社長達は事務所に来るととりあえず変身しているらしい。やはり、変態では。

 部屋の奥。変身機の前ではきらりんこと筑紫野吾妻つくしのあづまが足を組んでコーヒーを飲んでいる。話してみると意外とフレンドリーな人で、下の名前で呼んでいいと言われた。

 社長曰く、彼はまだ20代でTS趣味や女装癖持ちではなく、師匠の命令で慈善活動として毎週一定時間参加しているらしい。初見は怖いと思ったがかわいそうな人だった。


「所で社長、俺達って日中に活動出来るんですか?」

「術士の赤ちゃんの夢にチャイルドスリープは寄生したがる。午睡やお昼寝時の監視も大事な活動だよ」

 チャイルドスリープの発生はここで飼われているベンジャミンという名のオウムが探知してくれるそうだ。まだ俺が来てから反応したとこは見たこと無いけど。

……俺としては一攫千金を狙いたいところではあるのだが……平和な事は良い事だ。

「あ、そうだ。宗則くんコーデデザイン出来たの?」

「忘れてました。こんな感じでいいですか……」

 コピー用紙に女児向けアニメを見ながら見様見真似で描いたデザイン画を渡す。

「うん、OK。色はお任せで、デザインは多少弄ってもいいかな?」

「どうぞ、あんまり拘りとかはないので」

 キャラは被らないほうが良いらしいのでここにはいない巫女さん系にしたが、社長はご機嫌だ。

パソコンを立ち上げ俺の微妙な絵を取り込み清書していく。

このデータが俺のコーデとやらになるらしい。

「あ、コーデネーム何が良い?私がつけようか??」

「みのりで」

「普通……」

「いいですよ。普通で」

「若いんだからさぁ、もうちょっと夢とパッションのある……」

 話が長くなりそうだなと思っているとオウムが騒ぎ始めた。

「おっ!丁度いいね。きらりん!研修だ。みのりんにお仕事を教えてあげてくれたまえ!」

「せめて変身するまでは筑紫野って呼んでくれませんか?社長」

 良かった。吾妻さんは比較的まともだ。


「研修って言ってもそんなにすぐにモデルができるんですか?」

「モデル……いや、自動補正もあるから本当は原画でも大丈夫だよ。私がこだわって清書してるだけ」

 目の前で変身機に吾妻さんが入っていく。

一分ほどで光がぴかりと漏れ、ふわふわの金髪ロングヘア幼女になった吾妻が出て来た。衣装はチア風、テーマカラーは黄色かオレンジか。表情は無。可愛いビジュアルに修行僧みたいな魂を宿した魔法少女である。

 チャイルドスリープ討伐は魔法少女に変身してから夢に入る術式を使うらしい。使用者本人のコンディションで術が解除されないようにするためだそうだ。

「レンジと言うより証明写真機みたいですね……」

 社長はプリントアウトした紙を変身機にセットし、取り込み処理をしている様子。

 本当に、これから俺も美少女になってしまうのか。なんかドキドキしてきた。




☆★☆彡

マラソンのおかげかランキング感謝です。

日曜の朝を意識しているので毎週土日ライトに更新にすることにしました。

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