第37話

非常口から外に出た四人は、夜の闇に紛れて急いで移動した。


「何が起きたの?」桜井のアパートから通信してきた遥香の声が聞こえた。


「すごいニュースよ」美香も心配そうに言った。「メディアが突然、メモリートレード・ジャパンの内部告発を報道し始めたわ」


「城之内博士のおかげだ」誠一は息を切らせながら答えた。「彼は...最後には正しい選択をした」


「データは?」遥香が急いで尋ねた。


「完全な記憶データを確保しました」桜井が答えた。「そして、ライフログシステムの証拠も」


「公的な立場からは、私たちは何も知らないことにしましょう」斎藤が言った。「データ流出は内部告発として処理されるでしょう」


彼らがタクシーに乗り込むと、街中のディスプレイが次々とニュースを表示し始めていた。「メモリートレード・ジャパン、大規模な記憶データ不正取引の疑い」「政府関係者との癒着も」「記憶は誰のもの?倫理的議論が再燃」


「始まった」村上は静かに言った。

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