2-9

夕微が歩をどう思ってるのかは分からない。

そもそもアイツには……。


だからこそ許せない。歩を振り回すようなことをしているアイツが。


……けど、歩はきっと夕微のことが――……。


夕微といる時の歩を見れば嫌でも分かる…これも俺しか気付いてないと思うけど。


……それなのに。分かってるのに。

俺は何を言おうとした?


"俺は、歩のことが"


―――"好き"。


あと少しで出そうになった言葉。

歩は……夕微のことが好きなのに。そうじゃなくても困らせるだけなのに。

俺は何を言おうとしてんだよっ…。


「…くそっ!」


さっき歩に触れられた前髪をくしゃくしゃにさせると力なく壁にもたれる。


前にも後ろにも進むことが出来ない俺は、どうしたらいい―――…?




―*―

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