2-4
ボーっとしていたアタシは虎ちゃんの二度目の呼びかけにさえ気が付かず、ブレザーの裾をちょんちょんと引っ張られたことでようやく気が付いた。
「わ、悪い!何の話だっけ?」
「んだよ歩ー。俺のデンジャラス実話を聞いてなかったのかよー」
「ご…ごめん……」
なんとなく変な空気を作ってしまったので何とか笑顔を取り繕う。
視線を感じて夕微の方を見てみると……今にもげんこつを振り落としたいような形相でこっちを見ていた。
ひっ……!!
「わり…ちょっとトイレ……」
「歩、大丈夫か?」
「うん。お腹痛いだけだから」
そう言ってわざとお腹あたりを押さえて前屈みになると、そのまま夕微やみんなから逃げるようにその場を離れた。
「……はぁ……」
トイレに行くことはなく、やって来ていたのは屋上。
龍がしょっちゅう寝てるからか鍵は開けっ放しだった。
「どうしよう……」
入口のすぐ横の壁に背中をつけて座り込み、髪をくしゃっと掴む。
…みんなと話すことが出来ない。
それどころか、ちゃんと顔すら見れない。
アタシさえ普通にすれば何も変わることなんてないのに――…。
『犯人は……青学の人間』
『俺らに、身近なヤツ』
……夕微と龍はどうして平気な顔でいられるの?
あんな話しされて、アタシには無理だよ……っ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます