第7話

「先生、お願いします」


「いや、そうは言ってもですね」


「ちょ、來人っ」




恥ずかしそうに制止する楓を無視して、俺は先生にニッコリと笑顔を向けて言う。




「俺、転入テスト高得点だったんです」


「そ、それは、職員室で先生方の噂で聞きましたよ」


「クラスの平均点上げますし、模擬テストも頑張ります」




谷先生は、こんな話にノる人じゃないことはわかっていた。


というより、お願すれば谷先生なら聞いてくれるだろう。


だけどわざわざこんな言い方をするのは、谷先生が仕方なく席替えを許したことにする為だった。




「でも俺、楓の席の前じゃないと頑張れそうにありません」




俺がそう断言すると、えぇ!?と隣でバカっぽい声をあげる楓。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る