第36話

「聞かねぇの」


「両方、使ってくれて良いですよ」


「お前も聞けよ」




すると蓮先輩はさらりと私の髪をよけて、持っていたイヤフォンを私の右耳に差し込む。


突然のことで固まる私に対し、蓮先輩はまったく気にしていない様子で呆気なく離れてしまった。


馬鹿みたいにドキドキしてるのはどうやら私だけで、なんとも情けなくなる。


心地よいリズムで鳴るアップデートな流行りの曲は、私の鼓動と同期していた。




「こういうのが好きなのか」

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