第35話

確かに私の手元にあるイヤフォンからも物凄い音漏れが聞こえている。


いつもこんな大音量では…あ、さっき握りしめた時にサイドのボタンまで押してしまっていたんだ。




「わわわすみません!」




あたしは慌てて音量を下げた。下がったのを確認すると、蓮先輩はため息をついてからそれを耳に入れる。


さっきのドキドキと、今焦ったことで私の鼓動はさらに早くなっていた。




「ったく、」


「すいません…かけますね」


「ん」




私が改めて再生ボタンを押すと、ちょうどいい音量で音楽が流れ始める。


するとすぐに蓮先輩は私のほうを見て、私の手の中にあったもう片方のイヤフォンを手にした。

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