第32話

「先輩たちの世代がお好きな音楽と変わりませんよ?」


「雪はクラシックしか聞かねぇし…あいつぁ特殊だろ」


「…雪先輩らしくて素敵だけど、確かに珍しいかもですね」




蓮先輩は意外にも、雪先輩以外には仲が良い女性はいないんだろうか。


じゃあ、彼女は?、なんて。


私は口を綻ばせながら、流行っている歌手の名前をいくつか言った。




「ふーん」




だけど、蓮先輩はあまり興味がない様子で深く聞いてくることはない。


また会話途切れちゃったかとウォークマンに目を落とすとフェンスの間から綺麗な手が差し出された。




「いま言ったやつ、聞かせろ」


「え?」


「あるんだろ?その中に」

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