第33話
そう言って、私の手元にあるウォークマンを指差す。
突然の提案に、あたふたする私に蓮先輩は「ん」とさらに手を突き出した。
私はゆっくりとお尻を横に滑らせて、蓮先輩に近づいた。
「どうぞ」
両方のイヤフォンを渡すと、蓮先輩は右耳用のイヤフォンだけを受け取る。
それを耳にはめようとするが少し長さが足りなくて、ジロリと目線を送られた。
あたしは慌ててまた動いて、背中合わせよりちょっとずれた、背中合わせで隣に並んでいるみたいな距離感まで近づく。
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