第29話

なにかを眺めているのはわかったけどそれが何なのかが知りたくて聞いた。


すると蓮先輩は少し黙ってから答えてくれた。




「・・・街」


「街?」


「この街を見てる」




そう言って、眩しそうに少しだけ目を細める蓮先輩の横顔になんだか見とれた。



まるでこの街が大好きみたいに、慈しむように向けられている視線が、やけに羨ましく感じる。

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