カウントアップ

@hinax0309

第1話

僕は人の寿命が分かる。

人の頭の上に数字が表示されているからだ。

初めは何がなんだか分からなかったが、母も父も頭の上の数字の年で亡なったので、これが寿命だということが分かった。



人の寿命を知っているからといって僕にできることは何もない。

今年中に死ぬであろう数字の人が今、僕の目の前で死なないことを祈るだけだ。

僕だって、人が死ななくてよくなるよう頑張っていた時もあった。


母が死んだ時だ。

僕は母のことが好きだったので、何としてでも死なせたくはなかった。

だけど、僕が頑張たって何も変わらなかった。

母は40才、最後の日に亡くなった。

1日、いやあと1時間で41才だった。


逆に父は誕生日をむかえたその日に亡くなった。

寿命の数字になってすぐだ。

父は母に最力を振うような人だったから、その時はさほど悲しくなかった。


が、母より寿命が長いことには憤りを感じた。


寿命が見えたとしても何も良いことはない。

この変な数字のせいで僕はいつも1人だし、

誰も僕の存在に気づいていないように感じることも多かった。

友達もできず、人の寿命ばかりをみて暮らしていた。


あともう一つ。

僕には困っていることがある。

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